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社会人野球日本一を決める第92回都市対抗野球大会(11月28日~12月9日)に関する特集サイトです。

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/11 セガサミー クビ覚悟から信頼を勝ち取った最年長投手

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今夏の社会人野球日本選手権で力投するセガサミーの陶久=ほっともっとフィールド神戸で2021年7月2日、小松雄介撮影
今夏の社会人野球日本選手権で力投するセガサミーの陶久=ほっともっとフィールド神戸で2021年7月2日、小松雄介撮影

 11月28日開幕の第92回都市対抗野球大会。出場全32チームの魅力を担当記者が伝えます。32回連載の11回目は東京都・セガサミー。クビ覚悟から信頼を勝ち取った最年長投手の物語です。<次回は24日午前11時公開予定>

「陶久で負けたら仕方ない」

 セガサミー投手陣で最年長の30歳右腕、陶久亮太(すえひさ・りょうた)は絶大な信頼を集める。中継ぎの柱だが、チームの共通認識は「陶久で負けたら仕方ない」。吉井憲治投手コーチが「大事な場面で他の投手を起用すると、『なんで陶久を使わないのか』と責められますよ」と苦笑いする。ただ、入社後は鳴かず飛ばずが長く、「クビ」を覚悟するほど追い込まれた。その試練をどう乗り越えたのか。

 陶久の直球の最速は148キロ。高校生で150キロ超の投手がいる時代で、特別速いわけではない。スライダー、フォークなど変化球を織り交ぜて打ち取るタイプだが、吉井コーチは「投げる、走る、守るの元々持っている実力は投手陣で最下位」と、また苦笑いする。

 エリート街道を歩んだわけではない。NHK連続テレビ小説のモデルになった母校の帯広農高(北海道)は公立校。甲子園は2020年に21世紀枠でセンバツ出場校に選出され、今夏も出場したが、それ以前は1982年夏の1回のみだ。学校のある十勝地域は基幹産業が農業で、農業後継者の育成に長く力を注いでいる。陶久も甲子園に出場できず、卒業後は野球に一区切りをつけ、実家の農家を継ぐ未来をぼんやりと描いていた。

 親の勧めで「野球も農業修業もできる」と、東農大北海道オホーツクに進学。そこで頭角を現し、全日本大学選手権などのマウンドを経験し、自信が生まれた。さらなる高みを目指して、13年に社会人野球の強豪・セガサミーに飛び込んだ。

 だが、全国の有望選手が集まるチームで、大きな壁にぶつかった。「すべてにおいて実力不足。抑えたいという気持ちばかりで、実力が伴っていなかった」。打たれることばかりを恐れ、コースを狙いすぎて自分の首を絞めた。目標のプロ入りどころか、主力投手にもなれず、時間だけが過ぎた。

仲間の無念が一つの転機に

 「いつ、クビになってもおかしくない」。不安に襲われ始めたころ、一つの転機があった。同期…

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