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日本郵政の将来像 体質改善し堅実な経営を

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 政府が保有する日本郵政株の3回目の売却が完了した。出資比率は法律で定められた約33%まで低下し、民営化は節目を迎えた。

 日本郵政は投資家を意識した効率的な経営を一段と求められる。全国規模で一律に事業を行うユニバーサルサービスを維持しつつ、収益力を高める具体策を示さなければならない。

 最大の課題は金融事業に依存する構造からの脱却だ。民営化は、日本郵政が傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命の保有株をすべて売却して完了する。既にかんぽに対する出資比率は50%を割り込んだ。

 これに伴い、金融事業の自由度は高まる。一方で、この2社からの手数料収入で郵便事業を支える構造は見直しを求められる。

 デジタル化で郵便物は減る一方だ。料金値上げなどの収益改善策を講じているが、その場しのぎにすぎない。持続可能なビジネスモデルの確立が欠かせない。

 日本郵政は、楽天との提携による物流事業の強化や、企業買収などを通じた新規事業の開拓で成長するシナリオを描く。

 ただし、拙速は禁物だ。トップが代わるたびに成果を急ぎ、失敗を重ねてきた経緯がある。日本通運との宅配事業統合や豪州物流大手の買収では、事前の詰めの甘さから巨額の損失を出した。

 総務省では、郵便物の配達先といった個人情報をデータビジネスに活用する議論が進んでいる。不正利用や流出のリスクがあるだけに、慎重な検討が必要だ。

 収益を改善するうえで、全国で2万4000近い郵便局の再編も検討課題となる。全体の約8割を占める旧特定郵便局の廃止や統合も避けては通れまい。

 旧特定局は自民党の集票基盤として強い政治力を持つ。日本郵政の経営陣も抜本的な見直しに踏み込めなかった。こうした関係が効率改善の障壁になっているなら、上場企業として問題だ。

 郵便局では、内部通報者への局長のパワハラや横領などの不祥事が相次いでいる。かんぽ生命の不正販売で失われた信頼の回復も道半ばだ。

 優先すべきは適切な企業統治の確立と体質改善だ。旧態依然とした組織を見直し、堅実に成長する道筋を示す責任がある。

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