揺れる北極海天然ガス事業 独仏金融機関、融資団から次々撤退
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ロシアが主導する北極海での液化天然ガス(LNG)プロジェクト「アークティックLNG2」を巡り、融資団から欧州の金融機関が次々に撤退していることが毎日新聞の取材で分かった。石炭に比べて二酸化炭素(CO2)排出量が少ない天然ガスにも厳しい視線が向けられるようになったためだ。日本の大手行も撤退に動いたが、「国策」を盾に政府がこれに待ったをかけた。脱化石燃料を急ぐ世界の潮流に逆らうリスクマネーが動き出す。
三井住友銀行に届いた一通の書状
「アーク2は国策にも沿った事業である」。英グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約の第26回締約国会議(COP26)で世界の指導者らが脱炭素化に向けて気勢を上げていた頃、三井住友銀行に日本政府高官がしたためた一通の書状が届いた。「アーク2」が日本のエネルギー安全保障を強化するうえで欠かせない事業であり、国が後ろ盾になることを保証する旨が記されていた。
「アーク2」はロシアのガス大手ノバテクを中心とする共同企業体(JV)が北極海ギダン半島に採掘施設を建設し、2023年から年間最大1980万トンのLNGを生産するビッグプロジェクト。中国やフランスの石油会社と、日本からは三井物産や独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」(JOGMEC)が出資し、日本勢は権益の10%を得る。
計画では、総事業費2・5兆円のうち、1兆円強を日本、ロシア、中国、欧州の金融機関による融資で賄う。複数の関係者によると、日本からは三井住友銀が政府系金融の「国際協力銀行」と2000億円規模の協調融資を実施する方針を決めていた。ところが…
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