「全面降伏」退路絶たれた新生銀行 SBI傘下入り、苦渋の容認
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新生銀行が24日、SBIホールディングスによる株式の公開買い付け(TOB)を巡って導入を検討していた買収防衛策を取り下げた背景には、経営改善の道筋を示せない新生銀の現経営陣に株主から疑問の声が強まっていたことがある。公的資金約3500億円を投入している大株主の国が買収防衛策に賛同せず、SBI傘下入りを事実上容認する側に回ったことで、新生銀にはこれ以上、抵抗する道は残っていなかった。
疑問の声強めた株主、国の意向が決め手
「SBIから双方で協調して企業価値向上に努める意向であるという回答があった」
新生銀が24日午後5時半に出した発表文は、「SBIとの全面対決」を打ち出していた従来の文面から一変した。ある証券アナリストは「全面降伏と言っていい内容だ」と驚きを隠さなかった。
9月にSBIによるTOBが表面化して以降、新生銀経営陣は買収防衛策の導入をはじめ対決姿勢を鮮明にしていたが、徐々に逆風が強まっていた。現経営陣の下で「企業価値向上が可能」としつつも具体策を描けていなかったためだ。
新生銀の工藤英之社長は10月、SBIによるTOBの表面化後、初めて臨んだ記者会見で「現在の条件では株主の共同の利益に資さない」とTOBに反対する方針を表明した。SBIが提示した買い取り価格(1株2000円)は、新生銀が持つ潜在力に比べて低すぎるという主張だった。11月の決算発表記者会見でも、消費者金融事業や再生可能エネルギー分野など機関投資家向けビジネスの優位性を強調し、「潜在価値がきちんと反映されていない」と訴え、株主らにSBIの提案に応じないよう訴えていた。
その一方で、株主に自らへの支持を呼びかけるため、新生銀経営陣が示した将来構想は、実現性を疑われる内容だった。2025年3月期の最終(当期)利益を直近の21年3月期の約1・6倍となる702億円まで引き上げる方針を打ち出したが、将来に起こりうる他社との合併や買収(M&A)を頼みにしたもので、現時点では何の具体性もない内容に過ぎなかった。「合併を重ねれば実現は不可能ではないが、具…
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