肥大化補正予算 次官論文は逆効果 「真水30兆円」に突き進んだ訳

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経済対策を決定する臨時閣議に臨む(左から)林芳正外相、岸田文雄首相、野田聖子少子化担当相、鈴木俊一財務相=首相官邸で2021年11月19日午後5時31分、竹内幹撮影
経済対策を決定する臨時閣議に臨む(左から)林芳正外相、岸田文雄首相、野田聖子少子化担当相、鈴木俊一財務相=首相官邸で2021年11月19日午後5時31分、竹内幹撮影

 政府は26日、新たな経済対策の財源となる補正予算案を閣議決定した。経済対策の財政支出規模は過去最大の55・7兆円。このうち補正予算案では31兆円超を措置した。財源の大半は国の借金に当たる国債だ。

 経済対策、そして補正予算案は10月の衆院選、来年の参院選を意識した与党の強い圧力にさらされ、肥大化していった。今回の対策がいかに作られていったのか実態を検証した。

「規模ありき」

 「数十兆円規模の経済対策を早急に取りまとめる」。岸田文雄氏が最初に経済対策に言及したのは首相就任前、自民党総裁選への出馬準備を進めていた今年8月のことだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で政府は2020年度、3度にわたって補正予算を編成。20年度の予算額は過去最大の175・7兆円に膨らんだが、2割弱の30・8兆円を年度内に使い切ることができず21年度に繰り越している。

 「21年度は繰越金のほか、コロナ対策で機動的に支出できる予備費を5兆円も積んでいる。大型の補正予算など必要ない」(経済官庁幹部)

 霞が関からはこんな声も出ていたが、永田町の雰囲気はまるで違った。

 衆院選を控え、与野党は競うように給付措置の拡大や減税など大規模な歳出拡大策を打ち出していた。岸田氏の発言もこうした空気に沿ったものだ。大型経済対策の策定は既定路線になっていた。

 夏に開かれた東京五輪・パラリンピックの閉幕後、国内のコロナ感染状況は明確に減少基調となり、国内経済も再始動しつつある。

 しかし、衆院選では「コロナ後」に向けたあるべき経済論戦は深まらず、与野党はひたすら有権者の実利につながる政策を訴え続けた。

 こうした状況に焦りを深めた財務省からは衆院選前の10月初旬、異例の一手が飛び出す。

 事務方トップの矢野康治事務次官が月刊誌に実名で寄稿し、与野党の公約に「バラマキ合戦のようだ」と公然と批判を加えた。背後には…

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