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みずほ障害で最終処分 今度こそ悪弊絶つ刷新に

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 システム障害を繰り返したみずほ銀行と親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)に、金融庁が業務改善命令を出した。

 今年に入り8回もシステム障害を起こし、事後対応にも問題が多かったことを重く見て、経営責任の明確化を求めた。

 社外を含む取締役が経営を監視、監督する役割を果たさなかったとも指摘した。今回の処分は、一つの区切りとなる。

 みずほFGの佐藤康博会長、坂井辰史社長、みずほ銀の藤原弘治頭取は退任する。メガバンクとして利用者の信頼を裏切った責任を考えれば、当然だ。

 一連の障害で浮き彫りとなったのは、みずほが組織として深刻な問題を抱えていることだ。

 今年2~3月には、2週間足らずの間に4回も障害を起こした。顧客への対応も遅れ、大きな混乱を招いた。

 第三者委員会の報告を受けて再発防止策をまとめた後も、トラブルを繰り返した。8月の障害では、早期復旧のためのバックアップ機能が働かず、その原因も特定できなかった。

 業を煮やした金融庁は9月に、システムを実質的に管理下に置く異例の措置を講じていた。

 改善命令では、障害の原因として、リスク管理や顧客対応を軽視する経営陣の姿勢や、「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」という事なかれ主義の組織風土を問題視した。

 旧日本興業銀行、旧富士銀行、旧第一勧業銀行が合併して発足したみずほは、3行のバランスを重視するあまり、人事や組織運営で機動性を欠いていると言われてきた。その弊害が、組織をむしばんできたのではないか。

 2002年と11年にも大規模システム障害を起こしている。金融庁は、問題は共通しており、自浄作用が不十分だったと指摘した。だが、ずさんな対応を見過ごしてきた監督官庁としての責任も問われる。

 みずほは、大規模システム障害を起こすたびにトップが辞任してきた。しかし、首のすげ替えに終わり、教訓を生かして組織を再生することはできなかった。

 今度こそ、悪弊を絶つ経営刷新にしなければならない。

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