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SBIの新生銀買収 再生の道筋示す重い責任

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 新生銀行が、インターネット金融大手SBIホールディングスの傘下に入る公算が大きくなった。

 SBIによる株式の公開買い付け(TOB)に対する買収防衛策を取り下げた。約20%の株を保有する国が、反対の意向であることが明らかになったからだ。

 TOBは成立が見込まれ、銀行界初の敵対的買収はSBIの勝利で幕を閉じることになる。

 工藤英之社長ら新生銀の現経営陣は退陣し、SBIが推薦する五味広文・元金融庁長官ら3人を取締役として受け入れる方針だ。

 新生銀は、1998年に経営破綻した日本長期信用銀行が前身だ。一時国有化された後、外資系ファンドの傘下で再建を目指したが、経営方針が二転三転し業績低迷が続いた。

 大手行で唯一、公的資金が返済できておらず、今も約3500億円が残る。返済には株価を現在の約4倍の7450円程度にする必要があるが、現状では難しい。

 SBIは、資本提携先の地方銀行と進めている「第4のメガバンク」構想の中核に新生銀を据える計画だ。傘下の証券会社などとも協業を進め、公的資金の返済に向け収益向上を目指すという。

 国は、今の経営を続けるよりも、SBIに委ねる方が業績改善につながると判断したとみられる。

 だが、課題もある。

 SBIは、新生銀株の保有比率を最大48%にとどめ、過半数を持たずに経営権を握る計画だ。

 50%超の株を取得すると「銀行持ち株会社」になる必要があり、金融と関係が薄い事業が制限されるためだ。自社の都合に合わせた買収手法には「規制逃れ」との批判も出ている。

 48%を超える分は買い取りに応じないため、株主間の公平性を損なう恐れもある。株主に総会での対応を助言する米国の専門会社2社も、手法を問題視していた。

 SBIには、こうした批判を踏まえ、買収後の明確な経営方針を示すことが求められている。

 国内市場の縮小や日銀の超低金利政策という逆風が強まる中、新生銀を再生させ、公的資金の返済に向けた道筋を描くことができるのか。

 SBIと、お墨付きを与えた国は重い責任を負うことになる。

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