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永遠と横道世之介

「横道世之介」シリーズの第3作で、本編の完結編。38歳になり、フリーのカメラマンとして暮らしている世之介の日常がつづられる。

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永遠と横道世之介

/12 吉田修一 写真・王秉蒼

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「あら、野村(のむら)のおばあちゃん、またトラクター乗ってるね」

 隣地を耕すトラクターの音に、のんびりと耳を澄ませているのはあけみである。

 住人たちの朝食の片付けを終えたあと、いつものように、グラム単位で測るようにしてハチミツを載せたヨーグルトを食べている。

「ほんとだね」

 やはりのんびりと、食後のお茶を飲んでいた世之介も窓の外のトラクターの音に耳を向ける。

 隣地は広い農地である。半分を市民農園として貸しており、週末になると、それこそ吉祥寺の駅近マンションに暮らす人たちがやってきて、それぞれの野菜を収穫していく。

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