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棒鱈の甘露煮 福岡県岡垣町・松本梨江(無職・83歳)

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 スーパーマーケットで久しぶりに棒鱈(ぼうだら)に出合い、一瞬ひるんでしまった。いまだに冷静に向き合えないのは、16年前のあの日の後遺症。

 あの日は膵臓(すいぞう)がんでホスピスに入院中の夫が一時帰宅、外泊した最後の日となった。一緒に出掛けたスーパーで夫は棒鱈の前に立ち止まり「甘露煮、作ってよ」と事も無げに言った。「無理! 無理ですよ」。私はその場から逃げ出した。

 棒鱈の甘露煮は姑(しゅうとめ)の得意料理だったのか。4人の息子たちの好物だったのか。離れて暮らす息子たちとその家族が集合する際は、必ず棒鱈の甘露煮が大鍋いっぱいに用意されていた。そんなわけで、これだけは姑にお任せをしていた。夫に作ってほしいと言われたこともなく、甘露煮に挑戦する機会はなかった。

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