セカンドレイプは「不法行為」 伊藤詩織さんへの名誉毀損判決の意義
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オンライン上の「セカンドレイプ」に、司法が「ノー」を突きつけた。ジャーナリストの伊藤詩織氏(32)が、自身の性暴力被害を巡り、ツイッターで虚偽の情報を投稿され名誉を傷つけられたなどとして、漫画家のはすみとしこ氏らに慰謝料などを求めた訴訟で、東京地裁(小田正二裁判長)は30日、はすみ氏らの名誉毀損(きそん)を認める判決を言い渡した。性暴力被害を告発した人が攻撃され2次被害を受ける「セカンドレイプ」は深刻で、専門家らは「今回の判決を、セカンドレイプについて社会が議論する契機に」と訴える。判決の意義とリツイートの法的責任を巡る司法判断を詳報する。【塩田彩、宇多川はるか/デジタル報道センター】
「この判決は、どんな金額であってもどんな言葉であっても、一つの大きな一歩だと考えています」。30日の判決言い渡し後、東京都内で記者会見を開いた伊藤氏は涙ぐみながら語った。
伊藤氏は2020年6月、はすみ氏に550万円、はすみ氏の投稿をリツイートした男性2人に計220万円の損害賠償をそれぞれ求め東京地裁に提訴した。訴状によると、伊藤氏が元TBSワシントン支局長の山口敬之氏から性暴力被害を受けたと告発した直後の17年6月~19年12月、はすみ氏は、伊藤氏とみられる女性の姿とともに「枕営業大失敗!!」などと記したイラストを伴うツイート5件をツイッター上に投稿。伊藤氏が虚偽の性暴力被害を訴えているかのような印象を与える侮辱的内容で伊藤氏の名誉を傷つけたと主張していた。
判決は、はすみ氏のツイート5件中4件の名誉毀損を認定。はすみ氏のイラストについて、「性被害が存在するといった虚偽の事実を述べる人物だとの印象を与えるもので、伊藤氏の社会的評価を低下させる」と指摘し、「許容される限度を超えた侮辱行為」だとして、はすみ氏に88万円の賠償を命じた。また、はすみ氏の投稿をリツイートした男性2人にもそれぞれ11万円の賠償を命じた。
はすみ氏側は…
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