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あの人がいなければ-精子提供の今-

当事者への取材から、精子提供の今を追いました。

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精子提供者をネットで検索 「無法地帯」でも頼みの綱

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精子提供で授かった子どもと公園を歩く夫婦=埼玉県内で2021年10月20日午後0時26分、中川友希撮影(画像の一部を加工しています)
精子提供で授かった子どもと公園を歩く夫婦=埼玉県内で2021年10月20日午後0時26分、中川友希撮影(画像の一部を加工しています)

 「無償で精子提供」「精子提供ボランティア」――。こんな言葉が載ったページがウェブ上でたくさん見つかる。インターネットで知り合った人から精子をもらい、子どもを産んだ人もいる。当事者に取材すると、産みたくても精子が手に入らない人にとっては頼みの綱になっていた。【中川友希】

自然妊娠できず「時間に猶予ない」

 10月下旬、公園で清水尚雄(なお)さん(38)と妻の彩香さん(28)、2歳の長男が遊んでいた。滑り台で遊ぶ長男に、夫婦はそばに立って「もう1回」「もう1回」と手をたたいて盛り上げる。彩香さんは8月に生まれたばかりの長女を抱きかかえていた。2人の子どもは、インターネットで見つけた1人の男性から精子提供を受けて授かった。

 尚雄さんは女性の体に生まれ、男性と自認するFTMだ。性別適合手術を受けて男性に戸籍を変え、彩香さんと結婚した。当初は親族から精子をもらおうとしたが、親族が病気になり断念。次に医療機関で匿名の第三者から提供を受けた精子を使った人工授精(AID)を考えた。地元の病院で唯一紹介してもらえた医療機関の受診を検討したが、友人から「初診まで2~3年待ち」と聞かされた。自然に妊娠できないため「時間に猶予はない」。精子をくれる人をネットで探し始めた。

 だが、ネットは「無法地帯」(尚雄さん)だった。提供者から…

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