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平松 洋子・評『バスクの修道女 日々の献立』丸山久美・著

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素朴で無駄を出さない料理は、すべての行為に繫がっている

◆『バスクの修道女 日々の献立』丸山久美・著(グラフィック社/税込み2970円)

 私は大学生時代、縁あってスペインのカルメル会に属する修道院併設の学生寮に三年間住んでいた。祈りの日々を生きる修道女七、八人と挨拶(あいさつ)を交わす機会は多く、しかも、寮生の食事担当はスペインから帰国したばかりの修道女で、たまに簡単なスペイン風の料理が出た。キャベツとグリーンピース炒め、いんげん豆入りの野菜スープ、気持ちが入った素朴な味が身に染みたことは、学生時代にまつわる忘れられない記憶だ。

 本書は、1986年から14年間、マドリードに暮らした著者によるレシピ集なのだが、書店で手に取ったのは、昔の記憶を懐かしみたかったわけではない。厚さ3センチ、367ページにレシピが連なる圧巻の充実ぶり。実際にバスク地方の修道院を巡って著者が収集した400以上の料理で構成され、わかりやすさを心掛けたシンプルな作り方。行間から彼の地の修道院の暮らしが湧き上がるところに惹(ひ)かれた。

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