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森保監督も2022年のキーマンに指名 三笘薫、ダイナミックなドリブルで世界を席巻へ

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オマーン戦でアシストした三笘 [写真]=JFA 拡大
オマーン戦でアシストした三笘 [写真]=JFA
「(田中)碧の活躍はもちろん刺激になっていますし、僕ら東京世代がもっとやらないといけないというのはあるので、これからどんどんスタメンを担っていける選手が増えていくように、僕も頑張りたいと思います」

 16日のFIFAワールドカップカタール2022アジア最終予選、必勝のオマーン戦。殊勲の決勝点アシストを決めた三笘薫はさらなる成長を固く誓った。

 その言葉通り、ロイヤル・ユニオン・サン・ジロワーズで存在感を高めている。26日のルーヴェン戦では後半頭から登場し、わずか5分で華麗なゴールを奪った。

 自陣で自らインターセプトした三笘は、ボールを味方に預け、一目散にゴール前へ疾走。左サイドからの折り返しを受け、右足を一閃。華麗なボレーを相手ゴールに突き刺した。現地で「忍者のような空手技」と絶賛された一撃は、残念ながらチームの勝利にはつながらなかったものの、三笘のフィニシャーとしての能力を証明するのに十分すぎるインパクトがあった。チームも今季昇格組ながらジュピラー・プロ・リーグで首位をキープしており、まさに好循環の真っ只中にいると言っていい。

「三笘は9~10月の時点でリーグ戦先発出場ゼロだったんです。出場時間も10分くらいしか出られないとか。そういう彼を見ていて、まずは所属チームで存在感を発揮して、ポジションをつかむのが先決なのではないかと感じていました。そこで力を見せてくれれば、代表の力になってもらえると。11月2連戦の前にスタメンの立ち位置をつかみ取れたということで、代表に来てもらい、自信を持って力を発揮してもらいました」

 森保一監督も彼の歩みを慎重に見ながら、オマーン戦に送り出したことを明かした。一歩一歩、着実に前進していくのが三笘らしいところだ。

 振り返ってみれば、育成時代から過ごした川崎フロンターレでもそうだった。

 1つ上の三好康児、板倉滉、1つ下の田中碧に挟まれる三笘は、U-18時代から抜群の攻撃センスを発揮しながら「自分はまだプロで通用するレベルにない」と筑波大学進学を決断。地道にレベルアップに取り組み、ユニバーシアードや年代別代表で経験を蓄積。自信をつけてからプロの道を踏み出した。ただ、ルーキーイヤーだった2020年もシーズン開幕戦はサブ。コロナ禍による中断明け直後の3試合はベンチ外となるなど、最初から華々しい活躍を見せていたわけではなかった。

「フロンターレのポジション争いは物凄く厳しい。左サイドは長谷川竜也さんだったり、齋藤学さんだったり、代表を背負ってきた選手もいるので、前からのハードワークやスプリント力という自分の課題を考えると、まだ、どの監督にも使われる選手にはなれていない。そのレベルを目指して努力していきます」と1年半前の彼は厳しい自己評価をしていた。

 確かにジョーカー的な位置づけが続いたが、2020年7月26日の湘南ベルマーレ戦でのプロ初ゴールを機に「点の取れる切り札」としての能力を研ぎ澄ませていく。結果として川崎優勝の原動力となり、自身も13得点をゲット。Jリーグ新人最多得点記録タイに並び、ベストイレブンにも名を連ねた。

 少しずつ実績を積み重ね、最終的に大きな成果を手にするというのが三笘薫のスタイル。だからこそ、彼の歩みを熟知している森保監督も慎重な扱いを心がけ、代表デビューをギリギリまで待ったのかもしれない。

 しかし、それは2021年までの話。W杯イヤーはエース級の働きをしてもらわなければならない。実際、巧みに緩急をつけ、大きく幅を使いながら敵をキリキリ舞いするドリブル突破は他の誰にもできないこと。南アフリカW杯戦士のドリブラー・松井大輔も「三笘君のドリブルは(ギャレス・)ベイルに似ている」と評したが、長いスライドで一瞬にして敵を抜き去る技術と駆け引きのうまさはスピードスターの伊東純也や浅野拓磨とも一線を画している。

 年明けの最終予選ラスト4試合ではサウジアラビアやオーストラリアら宿敵がその武器を警戒してくるに違いないが、三笘ならはるか上を行けるはず。アジアレベルを飛び越して、W杯の大舞台で日本攻撃陣を力強くけん引してくれるだけのポテンシャルがこの男にはあるからだ。

 非凡な潜在能力を今夏の東京五輪では存分に発揮できなかった悔しさは本人の脳裏に深く刻まれている。その分、カタールW杯に賭ける思いは強いだろう。課題と言われたメンタル面もベルギーへ赴き、エゴイストの集まる中でプレーすることで大いに磨かれた。A代表デビュー戦であれだけの大仕事ができたのだから、この先も何も怖いものはない。

「今は全くW杯のことは考えてないですし、まずは残り4試合を勝ち切ることしか考えていないです。その先の自分たちのプレー次第で変わってくるので、1年後の状況は読めないという感じ。僕自身、オマーン戦1試合で変わって、そこまで周りの評価も変わるとも思っていないので、そこに関わっていけるようにしたいです」

 三笘はオマーン戦も謙虚な物言いに徹していたが、「自分が主役になってやる」という野心を秘めているのは間違いない。

 2022年はそれを前面に押し出すべき時。25歳という円熟期を迎えるダイナミックなドリブラーが日本代表を力強くけん引してくれれば理想的なシナリオだ。そうすれば、自身のプレミアリーグへの飛躍もグッと近づいてくる。

 あらゆる意味で期待大の三笘が世界を席巻する日は果たしていつ訪れるのか。今から楽しみで仕方がない。

取材・文=元川悦子

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