中村吉右衛門さん死去 二代目の重責、芸に昇華

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歌舞伎俳優の中村吉右衛門さん=東京都千代田区で2020年8月12日、内藤絵美撮影
歌舞伎俳優の中村吉右衛門さん=東京都千代田区で2020年8月12日、内藤絵美撮影

 時代物から世話物までを自在に演じる歌舞伎界屈指の立ち役俳優で文化功労者、人間国宝、日本芸術院会員の中村吉右衛門さんが11月28日、死去した。77歳だった。

卓越したせりふ術と魂を込めた演技

 卓越したせりふ術と魂を込めた演技で多くの観客を魅了した、まれなる俳優であった。

 初代松本白鸚の次男に生まれたが、母方の祖父である明治から昭和にかけての名優、初代吉右衛門に男児がいないため、跡取りとなることが定められ、幼くして養子となった。名字は藤間から波野に変わり、初代の没後、名前も祖父と同じ辰次郎に改められる。

 名優の跡取りたる重圧と闘う人生がそこから始まった。早稲田大学文学部仏文科を中退し、初代の芸域を目指して一心に歩み続けた。同じ立ち役である2歳違いの兄の現白鸚さんと異なる芸域を開拓しようと、時には「尾上菊五郎劇団」の公演にも加わり、世話物の呼吸を学んだ。父方の叔父、二代尾上松緑らの先輩に教えを請い、声を鍛えるために清元を学ぶなど悪戦苦闘の末に、若くして高い芸の評価を得る。

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