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あの人がいなければ-精子提供の今-

当事者への取材から、精子提供の今を追いました。

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「精子提供やめます」 50人超子どもがいる男性

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女性は精子提供者にLINEで出産を報告した=2021年10月15日午後2時9分、中川友希撮影(画像の一部を加工しています)
女性は精子提供者にLINEで出産を報告した=2021年10月15日午後2時9分、中川友希撮影(画像の一部を加工しています)

 「(精子)提供活動を終了する運びとなりました」「緊急の場合を除き返信しない形になります」――。10月中旬、関東地方に住む女性(41)の元に、精子提供者の男性(28)から無料通信アプリ「LINE(ライン)」でメッセージが届いた。女性には男性が提供した精子で授かった1歳の一人息子がいる。【中川友希】

「夫婦の子どもとして育てる」

 女性は37歳のころ、夫が原因の不妊に悩み、第三者からの精子提供による人工授精を考えた。だが、インターネットで見つけた病院は提供者不足で停止。年齢を考えると高齢出産になるため、診療の再開は待てなかった。

 ネットで提供者を探し、夫の了解を得て、容器に入った精子の提供を受けた。提供者の男性は、子どもと将来会ってくれると言っていた。提供者がどんな人か伝えられるなら、提供者の協力で生まれたことを子どもに伝えようと考えていた。

 提供者の男性のことを心配もしていた。男性は提供で生まれた子どもが50人超もいて、家庭もあった。…

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