国交省、独断で予約停止要請 「スピード重視」も即撤回の背景は
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新型コロナウイルスの「オミクロン株」への水際対策で、政府は国際線の新規予約停止を求める航空会社への要請を取りやめた。岸田文雄首相が目指す「先手対応」に向け国土交通省が独断で行った要請だが、公表翌日に撤回に追い込まれた。首相官邸の「ガバナンス(統治)」能力にも疑問符が付きかねない。
停止要請、国交省航空局の独自判断
「一部に混乱を招いた。私から国土交通省に邦人の帰国需要に十分配慮するよう指示した」。首相は2日午前、首相官邸で記者団に対し、1日夜に国交省に方針の見直しを命じたと明らかにした。国際線新規予約の停止要請は国交省航空局の独自の判断で11月29日に行われた。首相や松野博一官房長官、斉藤鉄夫国交相が報告を受けたのは2日後の12月1日の夕方だった。
同局によると、11月29日に政府が示した、入国者総数の1日の上限を12月1日から3500人に引き下げる方針を受けて局内で対応を協議し、その日のうちに12月1~31日の間に日本に到着する全ての国際線の新規予約を停止するよう国内外の航空各社に要請した。
12月は年末年始に向けて利用者の需要が高まることもあり、「緊急避難的な予防措置として急いでやらないといけないと考えた」という。
斉藤氏は記者団に「スピード感を持って対応したということだが事後報告だった。国民生活に大きな影響を与えることについてはより丁寧に対応すべきで、航空局に注意をした」と苦言を呈した。
同局によると、これまでも航空会社に対する事務的な要請は日常的に行っており、担当者は「今まで事務的に連絡しており、その一環との思いがあった。認識が十分ではなかった面があった」と釈明した。同省幹部は「事後連絡で構わないレベルだと思っていた。認識が十分でなかった」と話す。
同局が要請に踏み切った背景には、首相官邸の焦りもあるとみられる。
政府は11月29日に外国人の新規入国の原則禁止を決め、オミクロン株の国内初感染が確認された30日には、隔離措置の強化を発表した。首相が矢継ぎ早に打ち出すのは、安倍晋三元首相や菅義偉前首相が水際対策で「後手」との批判を浴びたことへの反省からだ。同局の対応も「スピード重視」の政権に同調した動きとも言え、閣僚経験者は「首相官邸のプレッシャーを感じていたのではないか」と推測する。
今回の要請は憲法が保障する「移動の自由」や「営業の自由」に抵触しかねない内容だけに、官邸のチェック機能が働かなかったこ…
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