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本屋プラグのためにならない読書

2017年、和歌山市万町にオープンした「まちの本屋さん」。お勧めの本や映画などを紹介してもらいます。

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本屋プラグのためにならない読書

/8 伊能忠敬の時代、生き生きと /和歌山

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ふらり。(谷口ジロー 講談社)

 先日、店頭での買い取りで、和綴(わと)じで製本された『大日本沿海実測録』という少し珍しい本が入ってきた。

 もともとは、かの伊能忠敬が17年の歳月をかけて自らの足で全国を測量し、その死後、弟子たちによって完成された日本全土の実測地図『大日本沿海輿地全図』が、文政4(1821)年に幕府に上程された際、その地図と共に提出された付属の資料集だ。それを維新後の明治3(1870)年に大学南校が木版刊行したもので、忠敬が測量した場所の地名に地名間の距離、湖や沼、島の周縁などが記録されている。

 今回入ってきたのは『大日本沿海実測録』全13巻14冊のうち、首巻と一巻、そして九巻~一三巻の計7冊だ。中には和歌山藩秘書寮蔵書之印の朱印記がある巻もあり、刊行とほぼ同時期に和歌山藩が入手したものだろうか(和歌山藩などは明治4年に廃藩置県で和歌山県になる)。九巻には、紀伊国131の島々を実測、または遠測した記録が載っている。紀伊国牟婁郡の項には、島々に交じって橋杭岩などの名前も見られる。海士(あま…

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