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日本の最先端技術の海外流出を防ごうと、警察当局の捜査員らが民間企業への注意喚起を始めた。政府が重要政策として掲げる経済安全保障の強化が狙いだ。スパイ事件の手口を紹介し、流出の未然防止を図る。【町田徳丈、斎藤文太郎】
「ホップ、ステップ、ジャンプ」
経済安保の狙いは、原発などの重要インフラや先端技術が外国に支配され、国の安全が脅かされる事態を回避することにある。警察当局は先端技術が流出して国際競争力が低下すれば、国民生活に影響が出かねないとして企業に対策強化を促すことになった。
これらの活動は「手を差し伸べる」という意味で警察内で「アウトリーチ活動」と呼ばれる。
警察はこれまで、ひったくりなどの街頭犯罪対策などで犯罪の未然防止活動を展開してきたが、その手法をスパイ事件などを摘発する外事警察でも本格的に進める。
11月30日、東京都千代田区内のビルの一室。スパイ事件を担当する警察庁外事課の吉田知明・経済安全保障対策官がオンライン形式で説明を続けていた。参加したのは半導体関連産業の事業者でつくる日本半導体製造装置協会に加盟する約40社の担当者だ。
「『ホップ、ステップ、ジャンプ』。三つのステップを踏みます」。吉田氏は対象者が情報を漏らしていく順序をそう解説した。
誰でも入手できる公開情報を持ってこさせて対価を支払い、それに慣れさせるまでが「ホップ」。対象者が情報の取り扱いにまひした後、標的の営業秘密を求めるのが「ステップ」になる。最後の段階は脅しだ。…
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