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永遠と横道世之介

「横道世之介」シリーズの第3作で、本編の完結編。38歳になり、フリーのカメラマンとして暮らしている世之介の日常がつづられる。

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永遠と横道世之介

/18 吉田修一 写真・王秉蒼

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 せっかく淹(い)れたお茶に口もつけず、

「あのー、二階見てきていいっすか?」

 と息子が立ち上がる。

「いいけど。名札のついてる部屋は開けちゃダメよ。奥のついてない部屋は自由に入っていいから」

 あけみの許しを得て、息子が睥睨(へいげい)するように室内や廊下を見回しながら、二階への階段を上がっていく。

「背ばっかり、ひょろっと大きくて」

 とはムーさんの奥さんで、気になるのは態度よりも背の高さらしい。

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