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中島京子・評 『人工島戦記』=橋本治・著

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『人工島戦記』
『人工島戦記』

 (ホーム社・1万780円)

橋本流の逸脱、脱臼、余談の戦後史小説

 二段組1200頁(ページ)強の長編小説であり、100頁に及ぶ詳細な「人名地名その他ウソ八百辞典」なる註(ちゅう)があり、その上、著者による「人工島戦記地図」が別冊付録としてつく、前代未聞の大著である。

 書き始められたのは、1993年。一部が雑誌連載されたが、その後は加筆修正が続けられ、2005年くらいまでには現在本になったほどのボリュームが書きあがっていたという。目次だけは最終章まであるが、19年の著者の急逝によって、未完となった。

 巻末「第じゅー部」のラストは「第五千八百七十二章」で、これはさすがに冗談かとも思うが(書かれているのは「第ろく部」の「第二百四十章」まで)、既存の原稿とペースを同じくして「第じゅー部」に至るならば、おおまかに考えて、倍近い量の原稿がこれから書かれる予定だったと推測される。もちろん、それではとても終わりそうになかったのかもしれないが。

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