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日本列島文化の成り立ちや日本人のルーツを巡る論争を活性化させる研究や発見が目立った。
アジアを代表する旧石器時代の人骨、港川人(沖縄県八重瀬町出土)について、DNA分析の結果「縄文人・弥生人・現代日本人の直接の祖先ではない」と、6月、東邦大などの研究グループが英科学誌に発表した。
グループは、母系の遺伝をたどることができるミトコンドリアDNAを構成するすべての塩基の配列の解読に国内の旧石器人骨では初めて成功。その結果、港川人と縄文人・弥生人・現代人は共通の祖先から枝分かれしたことがわかった一方、港川人自身は直系の子孫を残すことなく途絶えたと考えられるという。
港川人は約2万2000年前の旧石器時代人。世界的にも希少な全身骨格が4体も見つかっている。ただ、沖縄では港川人の時代以降の遺跡や遺物が見つからない「空白」が長く、後の縄文人とのつながりが議論になってきた。今回は1号人骨(男性)1体だけが対象だが、全塩基解読の結果は重い。水野文月・東邦大助教(人類学)は「ミトコンドリアDNAだけでなく(情報量が格段に多い)核DNAの分析、複数の港川人骨を含む他の旧…
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