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マイナカードの普及 ポイントより不安解消を

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 マイナンバーカードを普及させるため、政府は買い物に使えるポイントを最大2万円分付与する。

 取得に加え、新たに健康保険証として利用したり、公的な給付金を受け取る口座を登録したりする人を対象とする。

 だが個人情報保護を巡る国民の不安は根強い。それが解消されないまま、1・8兆円もの予算を投じて一気に普及させようという手法には首をかしげざるを得ない。

 2016年の発行開始以降、カードの普及は伸び悩んだ。政府は昨年、取得した人に5000円分のポイント付与を始め、交付枚数は国民の4割の約5000万枚に増えた。今回ポイントを手厚くして、23年春にほぼ全ての国民に交付する目標を達成したい考えだ。

 新型コロナウイルス対策では国民への一律10万円給付を巡る混乱が起きるなど、行政のデジタル化の遅れが浮き彫りになった。カードの利用で役所の手続きが円滑になれば、利便性も高まる。

 だがカードを持たない国民はまだ多い。民間調査によると、情報流出の不安を挙げる人が目立つ。とりわけ医療と金融はプライバシーの根幹に関わる。

 政府は「情報はカード本体には記録されず、紛失しても漏れることはない」と説明する。

 しかし国の個人情報保護の体制が不十分なままでは、不安を拭うのは難しい。

 保護を厳格にするには法規制の強化が必要だ。だが国が集めた個人情報については、本人の同意なしに外部への提供を認める条件が甘いと指摘されている。

 デジタル庁では、国が持つ個人情報を民間活用し、経済の活性化を図る政策が優先されている。

 監視役の個人情報保護委員会は人員が少ない。対象が企業に限られる今でもチェックが十分できておらず、行政機関にまで広げて対応できるのか疑問だ。

 デジタル社会の基盤は国民の理解と信頼である。ポイントでカードをいくら普及させても、不安が解消されなければ、利用は広がらないのではないか。

 政府は「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」との方針を掲げている。ならば、安心して使える手立てを十分に講じるのが先決だ。

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