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全勝優勝した照ノ富士 元横綱の芝田山親方が見た「違い」

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大相撲九州場所で貴景勝(左)を激しく攻める照ノ富士。全勝で千秋楽を締めくくった=福岡国際センターで2021年11月28日、平川義之撮影
大相撲九州場所で貴景勝(左)を激しく攻める照ノ富士。全勝で千秋楽を締めくくった=福岡国際センターで2021年11月28日、平川義之撮影

 年6回開かれている大相撲の本場所。第62代横綱・大乃国の芝田山親方が各場所を終えての思い、角界に対する考えについて、コラム「一刀両断」で独自の視点を交えて発信します。

勝負引き寄せた我慢と強さ

 一年を締めくくる九州場所といえば季節柄、おいしいものが多く、誰もが楽しみにしている。各部屋の後援者やファンの方々にも、2年ぶりの福岡開催をお待ちいただいた。だが、新型コロナウイルスの感染対策は続き、13日目以降は条件付きで外食や関係者との会食も認められたものの、通常開催とはいかなかった。

 出場すれば必ず土俵の中心だった白鵬が引退し、今後どのように展開していくか注目していた場所は、照ノ富士が一人横綱として土俵を背負い、全勝優勝した。他の力士と何が違ったのか。

 相撲は、立ち合いから自分の得意な形になれるとは限らない。不利でも、辛抱して自分の得意な体勢に持ち込むことが大相撲の醍醐味(だいごみ)であり、強さにつながる。照ノ富士には勝利を引き寄せる我慢と負けないという気持ちの強さがあった。

 充実ぶりが見えたのは、9日目の高安戦だ。本来は右四つだが、相手得意の左四つからでの取り口を見せた。右上手で引きつけ、相手に上手を取らせず、相手を包み込むようにして攻めた。

 場所を通して気負いは見られず、はっとする場面でも慌てない。動き回る相手であれば思い切り引っ張り込み、封じ込めてしまう。以前は強引に見えたが、今は無駄な動きがない。機敏さもあり、相手が照ノ富士のペースに引き込まれてしまうのだろう。

 身長192センチの照ノ富士のように、私も現役時代、体が大きかった。相手の攻めにも諦めずに残し、反撃に転じた。だからこそ、正代や御…

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