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不妊治療は「不要不急」だったのか 学会声明が残した爪痕

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顕微授精の様子。左のガラス管で卵子(中央)を支え、針のようなガラス管を通して精子を卵子に直接注入する=セントマザー産婦人科医院提供
顕微授精の様子。左のガラス管で卵子(中央)を支え、針のようなガラス管を通して精子を卵子に直接注入する=セントマザー産婦人科医院提供

 「2万736人」。今年1~2月の出生数は前年同期と比べてこれだけ減った。出産人口の減少に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「産み控え」の影響が指摘されている。

 そんな中、不妊治療を続けるカップルには、さらに不安に拍車をかける出来事があった。いわゆる「十月十日(とつきとおか)」前の2020年4月、新型コロナが妊婦や胎児に与える影響が不明として、日本生殖医学会が不妊治療の延期を促す声明を出したのだ。

 声明は約1カ月半後に修正されたが、当事者の心に爪痕を残した。未曽有のコロナ禍に、患者は、医師は、学会は、それぞれどう向き合ったのか。【三股智子、渡辺諒、岩崎歩/科学環境部】

「タイムリミット」迫る中

 「『なんで?』というのが最初の思いでした」

 石川県の40代女性は、声明を知った日をこう振り返る。不妊治療を始めて約10年。5年前からは体外受精など、より高度な治療を続けてきた。

 そのさなかの声明。「コロナ禍で見通しが立たないことは分かるけれど、『ストップ』を推奨されて反発する思いがありました」

 日本生殖医学会は不妊治療に取り組む医師らでつくる団体だ。声明は昨年4月1日、会員の医師に対し「不妊治療の延期を選択肢として患者に提示するよう推奨」した。妊婦が新型コロナに感染した場合に重症化する可能性や、医療機関の対応の難しさなどが理由だった。

 それでも女性は、感染リスクを避けながら治療を続ける道を選んだ。年齢を重ねる中で、妊娠の「タイムリミット」に焦りを感じていたからだ。

 受精卵を凍結するための採卵を、休息期間をはさみながら約半年間で3回くり返した。人一倍感染対策に気を使い、仕事はリモートに。移動もマイカー中心にし、人との接触を減らした。

 今年1~2月、国内の出生数は11万4907人と前年同期比で2万736人減った。これは19年1~11月と20年1~11月を比べた11カ月間の出生数の減少幅(1万853…

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