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この国はどこへ これだけは言いたい 失われゆく自由、現場で守る キャスター・金平茂紀さん 67歳

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インタビューに答える「報道特集」キャスターの金平茂紀さん=東京都港区で2021年11月27日、小出洋平撮影
インタビューに答える「報道特集」キャスターの金平茂紀さん=東京都港区で2021年11月27日、小出洋平撮影

 金平茂紀さん(67)といえば、骨太なテーマを特集して報じるTBSの土曜夕方「報道特集」の看板キャスターというイメージだろう。「報道特集」は米CBSの調査報道番組「60ミニッツ」がモデル。1980年の放送開始以来、キャスター自らがニュースの現場に出向くのが伝統のスタイルになっている。田畑光永さん、料治直矢さん、堀宏さんら歴代キャスターと同様、やはり金平さんも現場主義の人だ。最近こだわったのが「アフガン報道」だったという。

 「本当に頑張ったと褒めてやりたいですよ。記者は現場に行って、見て、聞いて。そこにしかないにおいをかいで。時代に立ち会ってそれを視聴者に向かって報じるのが役割ですから」

 そう言って金平さんが頰を緩めるのは、ロンドンに駐在する自社の須賀川拓・中東特派員が11月上旬、日本の大手テレビ局記者として初めて政変後のアフガニスタンの「現場」に入ったからだ。「特派員は地方にも足を運び、精力的に現地のリポートを続けました。日本の大手メディアは何かと横並びです。現地にライバル社の記者が入ると、続く社が出てきます」

 アフガンでは今夏、駐留米軍の撤退が引き金となって政変が起こり、タリバンが政権を掌握した。同地ではかねて干ばつが深刻化していたが、政変後は米国による資産凍結措置などによる経済の混乱がアフガンの民をさらに苦しめた。現地入りした欧米メディアは、食料を含めた物資不足が続く事態を報じていた。アフガンでの取材を数度経験してきた金平さんは今夏以降、何度も社内でアフガン入りを訴えたが、その度に止められ、「腰抜け」と批判しては大げんかしていたのだという。

 「もちろん自分が行きたかった。それがかなわなくてもTBSの誰かが必ず現地に入るべきだと思っていました」。国際報道畑でキャリアを築いた金平さんによると、日本では2004年に起きたイラク人質事件の頃から、メディアの世界でも自己責任論が語られるようになった。紛争地など危険な地域に記者が入ることまで批判されるような風潮は強まる一方だ、と金平さんは見ている。

 記者の動ける範囲が縛られ、渡航の自由まで奪われるような事態を看過していては、ひいては国民の知る権利を脅かす。それこそ批判されるべきなのだが、「外務省とけんかをしたくない企業・組織メディアがそんたくを始めて現地入りをあきらめてしまえば、そこに所属する記者は足場を失うわけです」。

 金平さんの報道特集では、今年9月の時点で政変後のアフガンに入った2人の日本人フリージャーナリストのリポートを放送している。それと比べれば、TBSの特派員のアフガン入りは2カ月遅い。それでもなお、日本の企業・組織メディアの現状を見れば「大きな意味があった」と金平さんは見るのだ。

 ここで金平さん、昨今のジャーナリズムを巡る危機を語り出した。「テレビ報道に関わるようになって45年。最近はマスコミ不信どころか無用論までが幅を…

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