北京五輪が始まった晩 砲弾が飛び、かつての同胞国は戦火を交えた
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ソ連崩壊から30年の節目に、歴代の毎日新聞モスクワ特派員がその前後に起きた出来事を紹介する。連載(全4回予定)の第3回は、杉尾直哉元特派員が同じソ連の共和国だったロシアとジョージアが2008年に起こした軍事衝突を振り返る。15日掲載の第4回はロシアが隣国ウクライナの領土を強制編入したクリミア危機とその後の紛争を取り上げる。
◇
焼け焦げたにおいのする濁った空気が漂う街は、軍用車が巻き上げる砂ぼこりでかすんで見えた。砲撃で破壊された戦車や集合住宅。乳飲み子を抱いた若い母親が途方に暮れ、道ばたに座り込んでいた姿が忘れられない。
08年8月、私は旧ソ連ジョージア(グルジア)北部の南オセチアの中心都市ツヒンバリにいた。ロシアと国境を接するこの地をジョージア軍が砲撃し、ロシアが戦車などを投入して反撃し、占領した。ソ連崩壊後、ロシアが他国に軍事介入したのは初めてだった。
モスクワ特派員だった私はその直前、夏季五輪の取材のため北京にいた。中国で初めての「平和の祭典」の開会式が8月8日に開かれ、米大統領だったブッシュ氏や、大統領から一時的に首相の座に身を引いていたロシアのプーチン氏ら世界各国の指導者が集った。南オセチアでの紛争勃発が伝えられたのはまさにその日だった。
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