売れぬ紅芋「餌にするしか」 苦境の沖縄、観光以外の道はあるか
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9月中旬、沖縄県読谷(よみたん)村では、収穫最盛期を迎えたにもかかわらず、買い取り先が見つからない特産の紅芋(べにいも)が畑に転がっていた。「今は業者も大変だから買い取れとは言えん。余れば豚やヤギの餌にするしかない」。紅芋農家の与那覇徳市さん(78)が嘆いた。
新型コロナウイルスの感染拡大前、土産物の原料として県内の菓子製造業者が買い上げていた紅芋。買い取り価格も高く、農家も生産量を増やしてきたが、コロナ禍の観光客の激減で状況は一変した。
紅芋を買い取ってきた菓子製造大手の「御菓子御殿(おかしごてん)」(読谷村)は2020年度、主力の「紅いもタルト」など土産物の売り上げがコロナ前の18年度から半減。紅芋ペーストの在庫は4倍に膨れ、21年春からはやむなく農家に生産量の調整を求めた。沢岻(たくし)英樹社長(53)は「観光に依存しているつもりはなかったが、コロナで気付かされた。県内向けの商品開発を強化する必要がある」と語る。
戦後の27年間にわたる米国統治から、1972年5月に日本に復帰した沖縄。近年はインバウンド(訪日外国人)を含む観光客が年々増加し、県内経済は高成長を続けてきたが、コロナの感染拡大で観光客は激減。22年の復帰50年の節目を前に「コロナ不況」にあえぐ。
影響はホテル業界や「観光の足」となってきたバスやレンタカー、タクシーなどの運輸業にとどまらない。…
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