特集

沖縄復帰50年

2022年5月15日、沖縄は本土に復帰して50年を迎えました。何が変わり、何が変わっていないのか。沖縄の歩みと「今」を伝えます。

特集一覧

売れぬ紅芋「餌にするしか」 苦境の沖縄、観光以外の道はあるか

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
買い取り先がなく放置されたままの紅芋を手に取る与那覇徳市さん=沖縄県読谷村で2021年9月17日午後4時25分、喜屋武真之介撮影
買い取り先がなく放置されたままの紅芋を手に取る与那覇徳市さん=沖縄県読谷村で2021年9月17日午後4時25分、喜屋武真之介撮影

 9月中旬、沖縄県読谷(よみたん)村では、収穫最盛期を迎えたにもかかわらず、買い取り先が見つからない特産の紅芋(べにいも)が畑に転がっていた。「今は業者も大変だから買い取れとは言えん。余れば豚やヤギの餌にするしかない」。紅芋農家の与那覇徳市さん(78)が嘆いた。

 新型コロナウイルスの感染拡大前、土産物の原料として県内の菓子製造業者が買い上げていた紅芋。買い取り価格も高く、農家も生産量を増やしてきたが、コロナ禍の観光客の激減で状況は一変した。

 紅芋を買い取ってきた菓子製造大手の「御菓子御殿(おかしごてん)」(読谷村)は2020年度、主力の「紅いもタルト」など土産物の売り上げがコロナ前の18年度から半減。紅芋ペーストの在庫は4倍に膨れ、21年春からはやむなく農家に生産量の調整を求めた。沢岻(たくし)英樹社長(53)は「観光に依存しているつもりはなかったが、コロナで気付かされた。県内向けの商品開発を強化する必要がある」と語る。

 戦後の27年間にわたる米国統治から、1972年5月に日本に復帰した沖縄。近年はインバウンド(訪日外国人)を含む観光客が年々増加し、県内経済は高成長を続けてきたが、コロナの感染拡大で観光客は激減。22年の復帰50年の節目を前に「コロナ不況」にあえぐ。

 影響はホテル業界や「観光の足」となってきたバスやレンタカー、タクシーなどの運輸業にとどまらない。…

この記事は有料記事です。

残り1957文字(全文2547文字)

【沖縄復帰50年】

時系列で見る

関連記事

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る
この記事の筆者
すべて見る

ニュース特集