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木内みどりさんに「俳優仲間で親しくしていた人は誰ですか」と聞いたことがある。その一人が、映画「エリカ38」(2019年公開)で共演した浅田美代子さんだった。この2人には、共通点がある。「俳優」としてではなく「個人」として、社会を変えていきたいと強く願い、行動する力を持っていることだ。【企画編集室・沢田石洋史】
「木内みどりの小さなラジオ」に出演
木内さんは浅田さんが長年続けている動物愛護活動に大きな関心を寄せていた。18年にスタートさせたウェブラジオ「木内みどりの小さなラジオ」の7回目の対談相手として、浅田さんに出演を依頼。浅田さん宅を訪れて収録された「台本のないおしゃべり」では、聞き役に徹して浅田さんの本音を引き出している。浅田さんは当時、殺処分の寸前だったり、虐待されたりしていた計4匹の犬(現在は3匹)を引き取って一緒に暮らしていた。対談で浅田さんはこう語っている。
「一緒に暮らしていた母親が01年に死んで、悲しくて悲しくて。友達はもちろんいるけれども、日々の中で、その当時いた犬2匹が助けてくれた。私が立ち直るのに。私は子どもがいないけど、自分が面倒を見なければならないものがいる。毎日、散歩に2回出なければいけない。外に出たくない心境だったけど、(散歩を続けるうちに)春になってきたなとか、そういう空気を感じながら立ち直ることができた」
十数年前にこのうちの1匹が死んで、「恩返し」のために1匹を引き取ったのが、活動のきっかけだった。悪徳繁殖業者に対する規制強化を求めて動物愛護法の改正運動に取り組むようになった。東京・永田町の衆院議院会館で開かれた「院内集会」で法改正を訴えたり、署名集めをしたり、小学校を訪れて「いのちの教室」と題した講演活動を行ったりしてきた。「自分にできることはやる」と決心したのだという。
浅田さんの「本気度」にほれ込む
木内さんは東京電力福島第1原発事故を機に反原発運動に加わるが、そんな木内さんにとって浅田さんは、社会問題の解決に向けて動く先駆者なのだった。そして、その「本気度」にほれていた。
国会での法改正の動きが一時止まっていた当時、いらだつ浅田さんは対談で「どう暴れようか」と語っていた。その言葉を聞いて、…
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