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飯島洋一・評 『バーナード・ルドフスキー 生活技術のデザイナー』=アンドレア・ボッコ著、多木陽介・編訳

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『バーナード・ルドフスキー 生活技術のデザイナー』
『バーナード・ルドフスキー 生活技術のデザイナー』

 (鹿島出版会・4180円)

何が「系譜のない建築」に執着させたのか

 バーナード・ルドフスキーは世界中の無名の風土建築や街路、衣服や食などを考察する文明批評家だが、本書はその彼の人生を描いた初めての評伝である。

 ルドフスキーの特質は、学問的、理論的、体系的ではない点にある。彼は学者というより「才覚のある素人」で、各地の旅と書籍による「無尽蔵の好奇心が収集した」素材を「文脈の一貫性などあまり気にせず、すべて一緒くたにして見せる」。そして「ばらばらな要素を取り出しては、学者には必ずしも受け入れられないうさんくさいかたちでそれらをつなぎ合わせるのもお構いなし」で、「並べるとつじつまが合わないことはしばしば」だが、それでも「組み立てると理想的なルドフスキー・システム」になると著者は指摘する。

 1964年にニューヨーク近代美術館で開催された「建築家なしの建築」展は無名の建築の紹介であるが、そこでの断片的な建築写真の無造作な並列はまさしく「ルドフスキー・システム」とすべきもので、同展の書籍でも風土建築の数々が無作為に並んでいる。

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