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第49回衆院選

岸田文雄首相が衆院選を10月19日公示、31日投開票で実施すると表明。短期決戦の選挙戦となります。

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立憲の衆院選「身も心もピタッと戦えなかった」平野博文氏の反省

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衆院選などについて語る立憲民主党の代表代行を務めた平野博文さん=同党本部の別館で2021年12月2日、梅村直承撮影
衆院選などについて語る立憲民主党の代表代行を務めた平野博文さん=同党本部の別館で2021年12月2日、梅村直承撮影

 自民党が勝利した10月の衆院選。与野党で“大物議員”が相次いでバッジを失ったが、野党第1党・立憲民主党の代表代行であり、旧民主党政権で官房長官を務めた平野博文さん(72)もその一人だった。立憲の選対委員長を兼務し、衆院選では選挙を取り仕切ったが、党や自身にとって厳しい結果になった。選挙から1カ月以上がたち、批判の声が上がる野党共闘の効果など、敗因をどう受け止め、党の再生をどう考えているのか。師走の冷たい風が吹く東京・永田町で、平野さんを訪ねて聞いた。【佐野格/デジタル報道センター】

 立憲は、10月31日投開票の衆院選で議席数を110から96と大きく減らし、2017年の結党時の“創業者”枝野幸男代表(57)が責任を取って辞任した。平野さん自身も、大阪11区(大阪府枚方市・交野市)で8回目の当選を目指したが、関西を中心に躍進した日本維新の会の候補に敗れ、比例代表でも復活できなかった。枝野前代表の辞任に伴う11月30日投開票の代表選では、政調会長の泉健太氏(47)が新代表に選出された。

 平野さんに、永田町の立憲民主党の別館でインタビューしたのは、その直後の12月2日。この二十数年間、平野さんが所属した旧民主党、旧民進党、旧国民民主党がそれぞれ党本部として使った由緒あるビル。その一室で、旧民主党の流れをくむ野党の浮沈を知り尽くす重鎮に、立憲の課題などを聞くことになった。

新代表の“天王山”は来夏の参院選

 ――厳しい結果となった衆院選から1カ月以上が過ぎました。少し落ち着きましたか。

 ◆なかなかですね。25年間、政治活動をしてきましたから。地元の関係者におわびとお礼のあいさつをしているところです。党の代表代行、選対委員長の立場でありながら、期待した議席数に届かなかったことに、反省と責任を感じる日々です。

 ――新代表になった泉さんとは話しましたか。

 ◆代表選後に電話で話しました。「世代交代したんだから頑張れ。思い切って好きにやらなきゃダメだ。変に気遣いなんかするなよ」と言いました。「新鮮さを出して変わったねと、(有権者に)思ってもらうのが大事だ。党内のベテラン組には、昔の名前で出ていますという人もいるけど、(野球で言う)ブルペンで、後方支援に回ってもらうくらいの体制にしないといけない」と伝えました。

 ただ、「ポイントを外すなよ」とも。その「ポイント」とは来年夏の参院選のことです。「その結果によっては、いろいろ起きる。あと半年後くらいだけど、何とか勝ち抜かないと、党代表としてのリーダーシップが大きく問われる。そのための陣は敷かないとあかんよ」と言いました。彼もそれはよく分かっています。

中間層の支持回復へ若い代表に期待

 ――泉代表とは、20年に立憲に合流する前に旧国民で一緒に活動していましたが、どんな人柄ですか。

 ◆若いし、さわやかで、力があると思います。旧国民などが立憲に合流した20年秋にあった代表選で、泉さんに「出ろ」と言ったのは私です。(その代表選では枝野前代表との一騎打ちに敗れたものの)今回も「出なければダメだ」と言いました。立憲が、もっとウイングを広げ、欠落してしまった中間層、無党派層の支持を取り戻すには、新しい世代の代表が、その肌感覚で党運営をする必要があると思います。

 ――新体制に期待することは何ですか。

 ◆ベテラン組に、サポートする意識を共有してもらうことが大事でしょう。(ベテランは)長幼の序を求めがちですが、そうなると党内がごちゃごちゃになってしまいます。そこは間違えないでほしいですね。

地元・大阪を直撃した維新旋風

 ――衆院選で、維新は議席数を11から41へと約4倍に増やしました。平野さんが出馬してきた選挙区があり、維新の本拠地でもある大阪での躍進が特に目立ちました。

 ◆コロナ禍への対策で維新は、代表の松井一郎・大阪市長や副代表の吉村洋文・大阪府知事らが連日のようにテレビに出演するなど、メディアへの露出度が高くて大きな効果がありました。府民には「維新は一生懸命やっている」というイメージができました。維新はその一方で、政府・自民党の新型コロナウイルス対策も批判し、自民党ではダメだ、維新の方が頼りになると、府民の目には映ったと思います。また、この10年くらいで、維新は所属する地方議員が圧倒的に増えたことも基礎体力として大きかったと思います。

 ――立憲も枝野前代表らがメディアに露出していましたし、地方組織の強化に力を入れていたのではないですか。

 ◆党の全体的なことで言うと、旧国民などと合流して党内融和をやってきましたけど、身も心もピタッと戦う態勢でやりきれなかったのではないかと思います。

 それと(立憲の他に、20年に立憲に合流しなかった議員らによる現在の国民民主も支持する)連合の受け止め方ですね。(立憲が結党されて戦った)17年の衆院選に比べると、20年に新立憲になったけど、今の国民民主も残ったので、支援してくれる労組の間で一体的な選挙態勢を組めていなかった気がします。選挙は戦いですから、ごまかしなく戦わなきゃならんけれども、互いに遠慮しながら、気を使いながらでした。これでは戦にならない。それがあちこちにあったのかな。これが私の肌感覚の分析です。

 地方組織で言うと、立憲の地方議員は少ないです。地力で踏ん張れる、何が何でも政治を志し、立憲から出たいという候補者がたくさん来るようなブランド力も高めないとダメだと思います。

政権への批判票が維新に

 ――平野さん自身の大阪11区での敗因は、どのように考えていますか。

 ◆一つは出遅れ感がありました。党の選対委員長として全国を飛び回っていたので、地元に帰れませんでした。(10月14日の)衆院解散の日に地元に戻って、慌てて自分の選対組織を作る状況でした。準備不足は否めませんでした。

 それから、私へのイメージと、立憲へのイメージが違ったのかもしれません。もともと私は中道ですから。中道左派、リベラル右派の立ち位置でやってきましたが、今回はそう映らなかったのでしょう。分かりやすく言えば、私の本来のイメージよりも、左派に見えたかもしれません。

 立憲も「既成政党」の枠内でとらえられている感じで、政府・与党への批判票が、(現状打破で)「身を切る改革」を訴える維新に流れてしまったかなとも思います。私自…

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【第49回衆院選】

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