1日200個「荷物に殺される」 過酷さ増す宅配ドライバーの実態

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個人事業主の宅配ドライバーとして働く40代の男性は配達する荷物の多さに「一時うつのような状態になった」と明かす(写真はイメージ)=ゲッティ
個人事業主の宅配ドライバーとして働く40代の男性は配達する荷物の多さに「一時うつのような状態になった」と明かす(写真はイメージ)=ゲッティ

 「このままでは荷物に殺されるかも」。疲れ果てた男性の脳裏には、こんな考えが浮かんだという。新型コロナウイルス下でインターネット通販の需要が高まる中、個人事業主として働く宅配ドライバーから「長時間の過密運行を強いられた」「一方的に契約を切られた」といった悲痛な声が上がっている。「自由な働き方」として広がる個人事業主のドライバーに何が起きているのか。インターネット通販大手「アマゾン」の荷物を運ぶ男性らに実態を聞いた。【道下寛子/デジタル報道センター】

コロナで急増、13時間休みなく運ぶ

 配送する荷物は、軽ワゴン車の後部の荷室には入りきらず、助手席にも積み上がっている。朝9時から約13時間、ほとんど休みなく運び続け、昼食は菓子パンを買い、車の中で5分で済ませる。運転しては荷物を届けることを繰り返すうち、足は棒のようになってふらついてくる。でも、今日は200個を運ばないといけない--。横浜市の男性(44)は今年9月ごろ、「過大な仕事を押し付けられ、ずっと運転し続けている。このままでは事故を起こしたり、倒れたりして、荷物に殺されるかもしれない」と危機感を抱いたという。

 男性は2017年11月、アマゾンが荷物の配送を委託する運送会社の下請けの配送業者と委託契約を結んだ。高校卒業後、派遣の仕事などを転々としていたが、10年から介護の仕事につき、やりがいを感じて介護福祉士の資格も取った。正社員になったが、給料の手取りは18万円ほど。生活費などのため、消費者金融で借金をしていたが、その額が180万円まで膨らんだ。「収入を増やしたい」と、個人事業主の宅配業者を始めたという。

 個人事業主の場合、配送に使う車を自前で用意する必要がある。男性は新古車(約110万円)をリース契約して分割して支払ったほか、ガソリン代などの経費も自己負担だ。

 男性は実家で母と2人暮らし。週5日、午前8時に契約先の宅配業者の倉庫に行き、自分の車にその日配る荷物を積み込んだ後、配達に向かう。ドライバーはそれぞれ担当エリアが決まっており、エリア内に配達する荷物は上限なく運ばなければならない。配送業者からは週65時間を超えて働かないよう要請があり、配達は原則午前9時から午後9時まで。報酬は荷物の量に関係なく、1日1万7000円だ。収入は月35万円程度で、ここからガソリン代などをひいて手元に残るのは約20万円だ。男性はため息をつく。「借金があと100万円残っていて、月5万円程度は返済に回しているので、生活は厳しいですね。結婚はしたいですが、貯金もないし、職場は男ばかりで出会いもありません」

 さらに新型コロナの感染拡大の影響で、昨年から配送する荷物の量が増え、仕事がきつくなった。昨年初めに…

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