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HIS子会社の不正 GoToの悪用許されぬ

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 事実なら、詐欺まがいの行為だ。政府の観光支援策「GoToトラベル」が悪用されていたとの疑惑である。

 旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)の子会社2社が、宿泊の実態がない取引で補助金を受けていた疑いが持たれている。国土交通省が調査に乗り出した。

 この事業は、補助金を原資に旅行会社が宿泊料金などを割り引き、需要を喚起するものだ。

 新型コロナウイルス禍で、2社が確保していたホテル客室に予約が入らなかった。このため1万8000泊を超える宿泊があったと偽って申請し、補助金で損失を穴埋めしていた可能性がある。

 HISは関係者の聞き取り調査を始めたが、記者会見は開かず、詳細を明らかにしていない。説明責任を果たすべきだ。

 別々の子会社でたまたま同じ事態が起きていたというのも不自然だ。ホテルの運営会社はHISの元社長が経営している。組織ぐるみではなかったか、十分な検証が求められる。

 トラベル事業は年明け以降の再開が検討されている。事実が解明されるまで、HISグループを補助対象から外すのが妥当だろう。

 政府の責任も問われる。

 所管は国交省だが、実務は観光業界で構成する事務局「ツーリズム産業共同提案体」に委託している。旅行会社などが人材を派遣し、申請書類の審査や支払いの作業にあたっている。いわば仲間内でチェックする構図だ。

 書類には利用者名や宿泊日程などを記載するが、裏付けとなる帳簿などを提出する必要はない。

 これで公正な審査ができるのだろうか。申請時に見抜くことはできなかったのか、事務局の対応にも疑問が残る。

 会計検査院は昨年度決算の検査報告で、GoTo事業の予算執行を政府が十分に監督できていないと指摘した。審査体制に問題を残したままでは、再開しても同じことが繰り返されかねない。問題点を洗い出し、制度を改善することが先決である。

 巨費を投じたコロナ対策では、中小企業支援の持続化給付金などでも不正が相次いだ。委託事業者に事務を丸投げするばかりでは、政府は管理責任を果たせない。

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