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来春から始まる不妊治療への公的医療保険の適用について、体外受精などを受ける女性の対象年齢を治療開始時点で「43歳未満」、対象回数を「最大6回」とする方針が決まった。政府は、不妊治療の保険適用を少子化対策の柱に位置づけているが、カップルの晩婚化、晩産化傾向が続く中、打開策の一歩になるかは見通せない。【岩崎歩、中川友希、中西拓司】
40歳超で治療の国内事情考慮
「公的保険が適用されるなら一定の年齢制限を設けるのはやむを得ないが、子どもがほしいという夫婦の環境はそれぞれ異なる。対象を一律『43歳未満』としていいのかといった懸念は残る」。不妊治療を実施する医療法人オーク会(大阪市)の船曳美也子医師は指摘する。
一般的に、女性の年齢が上がるにつれ、卵子の質が変わるなどして出産する確率は下がる。日本産科婦人科学会(日産婦)の2019年のデータによると、不妊治療による出産率は、32歳の22%から徐々に下降し、40歳で9・8%、43歳になると3・6%に低下する。逆に流産率は年齢とともに上昇する。26歳時点で15・5%だが、43歳で48・4%、44歳で53・1%に達する。
不妊治療で出産した女性の9割は6回までの治療で出産する一方、40歳以上では治療回数を重ねても出産する割合がほとんど増えないとのデータもある。
年齢につれて母体へのリスクも上昇する。苛原(いらはら)稔(みのる)徳島大大学院医歯薬学研究部長(産婦人科学)らが2001年から10年までの約57万6000人の妊娠症例を分析した研究によると、妊娠高血圧症候群は加齢に伴って増え、特に40歳を超えると急増した。43歳以上では30歳の2倍以上のリスクだった。そのほか、…
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