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日米地位協定
在日米軍が日本国内で円滑に活動できるようにするために特別な権利を定めた協定。日本は第二次世界大戦の敗戦で失った主権を1952年のサンフランシスコ講和条約発効で回復したが、同時にアメリカと日米安全保障条約を結び、日本を占領していた米軍の駐留を引き続き認めた。これに伴い、日米地位協定の前身となる日米行政協定が定められた。しかし、安保条約は日本が領土を米軍に基地として提供するのに、米軍には日本を防衛する義務のない片務的なものだったため1960年に防衛義務を盛り込む形で改定されることになり、あわせて行政協定も現在の地位協定に改められた。
地位協定は28条で構成される。2条で日本国内の基地使用を米側に認め、3条で基地内の管理・運営などのために米側が「必要なすべての措置を執ることができる」としている。基地返還時に米軍が原状回復義務を負わない▽米軍の船舶・航空機・車両や米軍関係者とその家族が基地間の移動を自由にできる▽米軍人は出入国管理法の適用から除外され旅券や査証(ビザ)なしで日本に出入りできる▽米軍が日本に持ち込む品に関税を課さない▽米軍関係者による公務中の犯罪は米軍が裁判権をもつ――といった取り決めもある。協定に実効性をもたせるため複数の特別法も制定されている。
こうした特権によって、米軍関係者が日本国内で事件や事故を起こしても日本側が十分に捜査できないなどさまざまな問題が生じている。1995年に沖縄県で起きた米兵による少女暴行事件を契機に、米軍基地を抱える15都道府県でつくる渉外知事会が日米両政府に協定の見直しを要求。全国知事会も2018年と2020年に協定の抜本的な見直しを日本政府に提言した。日米両政府は、米軍基地内で自治体などに環境調査を認める環境補足協定や、米軍が裁判権をもつ「軍属」と呼ばれる米軍関係者の範囲を縮小する補足協定を結んだものの、自治体側の要求や提言には応じず、協定自体を改定したことは一度もない。
外務省はホームページで「日米地位協定は日本と極東の平和と安全に寄与するため、米軍が我が国に安定的に駐留するとともに円滑に活動できるようにするために定められている」としたうえで「外国軍隊の扱いに関する国際的慣行からみても均衡のとれたもの」と説明。協定が特権的であるとの見方を否定している。
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