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ストーカー、家庭内暴力、性犯罪――。被害者支援に取り組む警察でも女性の力が必要とされる現場は増える。女性警察官の成長と警察学校の人間模様を追った。
/1 4度目の挑戦でつかんだ夢 厳しすぎる現実「私、もうだめかも」
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全国で女性警察官が増えている。10年前は6.5%だった女性警察官の割合が、昨年度は10.2%と初めて1割を突破した。ストーカー、家庭内暴力、性犯罪――。被害者支援にも取り組む警察にとって、女性の力が必要とされる現場は今後も増えるだろう。そんな世界に飛び込んだ1人の新人巡査が福岡県警にいる。汗と涙でもみくちゃになった警察学校から警察署に配属され一線に立つまで、女性警察官の成長と警察学校の人間模様を追った。
外部連絡も厳禁の「特別教養期間」
教場は男女のすすり泣く声であふれていた。
福岡市中央区の福岡県警察学校「第9教場」。警察学校では教室のことを教場と呼ぶ。2021年2月に入校した初任科555期の新人警察官21人が1カ月間の特別教養期間を終え、保護者への連絡を初めて許された時だった。そのうちの一人、西明日香巡査(25)は、久しぶりに聞く母ひろえさん(54)の声に目を赤くした。
特別教養期間は、警察官としての礼儀作法や心構えを徹底してたたき込むもので、外出はもちろん外部との連絡も禁止される。階級社会である警察組織に求められる厳格な上下関係や、全寮制の規律正しい生活に慣れない場合、最初の1カ月間で音を上げる学生は少なくない。メンタルケアのために臨床心理士が学校に常駐するほどだ。
21人のうち女性は西巡査を入れて10人とほぼ半数を占める。福岡県警も女性警察官の割合が年々増えており、…
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