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羽生結弦と作曲家・冨田勲 「天と地と」を描いた求道者の共通点

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世界国別対抗戦の男子フリーの演技前に気持ちを高める羽生結弦=丸善インテックアリーナ大阪で2021年4月16日、代表撮影
世界国別対抗戦の男子フリーの演技前に気持ちを高める羽生結弦=丸善インテックアリーナ大阪で2021年4月16日、代表撮影

 フィギュアスケート男子で冬季五輪を2連覇中の羽生結弦(27)=ANA=は昨季に続き、フリーのプログラムを大河ドラマ「天と地と」のテーマ曲で演じる予定だ。作曲した世界的な音楽家、冨田勲さん(故人)は、この曲にどんな思いを込めたのか。親族を訪ねると、2人の求道者の共通点が見えてきた。

「音」と「氷」 芸術を極めた先の世界

 「父も喜んでいると思う。50年以上前の曲を思いもしなかった場所で使ってもらって。羽生選手も、いろいろな曲を聴いてこの曲に決めたと思いますし、感謝しています」。東京都内で暮らす冨田さんの長女、妹尾理恵さん(65)は感慨深げに語った。現在はシンポジウムなどを通して、父の功績を後世に伝えている。

 妹尾さんの言葉通り、羽生の「天と地と」に対する思い入れは強い。昨年12月、全日本選手権で5年ぶり5回目の優勝を果たした際には、こう語っていた。

 「このプログラムの選曲自体は、自分がやっている。編集もかなり、バージョンを作ってやった。なので、音自体にもすごく(思いが)込められています」

 「天と地と」は、戦国時代の武将・上杉謙信を主人公にした1969年のNHK大河ドラマのタイトルだ。羽生は「悟りの境地のようなところまでいった謙信公の価値観とちょっと似ているのかなと思って」と、自らのスケートに対する価値観や世界観を「軍神」と呼ばれた謙信に重ね合わせている。

「琴の音」に込めた思い

 シンセサイザーの第一人者だった冨田さんはアルバム「月の光」(74年)で米国の音楽ヒットチャートのクラシック部門で1位に輝き、日本人として初めて米グラミー賞にノミネートされた。…

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