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2022年度に15年目を迎えるふるさと納税。都市の税収を吸い上げ、地方は潤ったのでしょうか。

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ふるさと納税で住民税流出 都市の策は「説得」か、「後押し」か

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ふるさと納税の影響で区民税が他の自治体に流出している実情を伝える区報を手にする、東京都世田谷区の高井浩幸課長(中央)ら経営改革・官民連携担当課の職員=世田谷区役所で2021年12月17日、竹内紀臣撮影
ふるさと納税の影響で区民税が他の自治体に流出している実情を伝える区報を手にする、東京都世田谷区の高井浩幸課長(中央)ら経営改革・官民連携担当課の職員=世田谷区役所で2021年12月17日、竹内紀臣撮影

 ふるさと納税で都市が焦っている。住民が他の自治体に寄付すると、その分、本来入るはずだった住民税が流出する仕組みだからだ。高齢者施設の整備、ごみ収集……。このままだとできなくなることを挙げて住民に訴えるが、流出は止まらないどころか加速する。巻き返しへの策はあるのか。(第3回/全6回)

 東京都世田谷区役所のロビーでは、2カ月前の区報が今も手に取れる。

 「70億円が流出‼」と他の自治体に流れた税額を示す太字の見出しが躍り、「住民サービスに使えるはずだったお金です」と区民に訴える。通常号とは別の「ふるさと納税特集号」。年1回発行し、新聞折り込みなどで各戸に配布していると区の担当者は言う。

 読んだ住民からは「おかしな制度だと分かった」と納得する声の一方、「世田谷もお礼の品を充実させて稼げばいいじゃない」という意見も寄せられた。「そんな中でも普段から一番多いのは……」。そう切り出し、担当者は落胆する。「『自分の控除額の上限がいくらなのか』という問い合わせ。他の自治体に寄付したいということなのだろう」

 ふるさと納税で他の自治体に寄付すると、住民税などが控除(軽減)される。居住自治体にとって、本来入るはずだった税金が他の自治体に流出する形で減収となる。

 人口約92万人と政令市並みの規模を誇る世田谷区の流出額は、拡大の一途をたどる。…

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