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カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致を巡り、大阪市に新たな費用負担が生じることになった。大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)の建設予定地で、液状化の危険性などが判明し、土地所有者の市が約790億円の対策費用を負担することを決めたためだ。市の内部資料からは、松井一郎市長の強い意向により、市負担が特例的に決まった経緯が見て取れる。IR招致に名乗りを上げた全国3自治体のうち、大阪が異例とも言える巨額の財政措置に踏み込んだ経緯に迫った。
「これだけ問題がある土地なんだとびっくりしている。これからにぎわいの拠点にするので、安全な土地を提供するのが市の責任だ」。松井市長は10月5日の市議会で、市が対策費を負担する考えを表明し、12月21日の大阪府・市の会合で市負担が正式に決定した。
IR予定地は万博会場予定地に隣接する49万平方メートル。MGMリゾーツ・インターナショナル(米国)とオリックス連合の事業者が、カジノやホテル、大規模会議場など、延べ77万平方メートルの施設を整備し、2029年秋~冬の開業を目指す。
液状化対策、市の負担は妥当か
市などによると、事業者が20年に行ったボーリングによる地質調査の結果、39地点中24地点で大地震の際に液状化する恐れのあることが判明した。事業者は「万全の対策が必要だ」として、敷地全体の地盤改良を行うよう市に求めた。
市は、液状化対策費を約410億円と算出。ヒ素などが含まれる土壌の改良費や、地中残置物の撤去費も含めた費用を約790億円と見積もり、22年2月の市議会に予算案を提出する。しかし、市が、舞洲(まいしま)など、夢洲と同じ大阪湾の埋め立て用地の販売で、液状化対策費を負担したケースはない。
なぜ、今回に限って市は負…
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