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精神的DV対策 被害者救う仕組み整備を

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 配偶者などからの暴力(DV)は、身体的な被害にとどまらない。精神的な暴力への対応も課題になっている。

 政府の有識者会議が、DV防止法の改正に向けた中間報告をまとめた。精神的DVについても、被害者から加害者を遠ざける保護命令を裁判所が出せるようにするのが柱である。

 暴言を吐く、無視する、実家や友人との付き合いを制限する、大切な物を捨てるといった行為で、モラルハラスメントとも呼ばれる。被害者の心を深く傷つけ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)につながる恐れもある。

 内閣府が設置した窓口に2020年度に寄せられた相談では、精神的暴力に関わるものが6割近くに上っていた。身体的暴力は3割だった。

 保護命令が出ると、加害者は一定期間、被害者につきまとうことが禁止される。住まいから出て行くように命じられることもある。罰則もある。

 現行法では身体的暴力などに適用範囲が限られている。精神的暴力にも拡大するのは当然だ。

 法改正に実効性を持たせる運用が欠かせない。

 精神的暴力の被害をどう立証するかが課題だ。身体的暴力でも、保護命令が出るまでに平均して12日かかる。より時間を要する可能性がある。

 20年度のDV被害相談は全国で19万件余に上り、前年度の1・6倍になった。コロナ禍でストレスが高まり、家庭で過ごす時間が増えた影響が指摘されている。

 防止法は過去4回改正されたが、対策は追いついていない。

 被害を受けた人の半数近くが、どこにも相談していないという調査結果がある。打ち明けやすい体制を整備すべきだ。

 被害者の保護、心身のケア、生活再建の支援を包括的に行う取り組みも求められている。公的機関と民間シェルターの連携を強化していく必要がある。

 DVを根絶するには、加害者への働きかけも大切である。そのためのプログラムは、検討が始まったばかりだ。

 被害者を確実に守るため、実態に即した仕組みを早急に整えなければならない。

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