目指せ2030年宇宙の旅 日本のベンチャー意欲 世界に出遅れ「国の支援に期待」
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2021年、欧米の大富豪が主導して民間人が宇宙旅行する時代が到来した。日本でも12月に衣料品通販大手ZOZO(ゾゾ)創業者の前沢友作氏(46)が宇宙空間に滞在して話題となったばかりだが、日本発の有人宇宙旅行が実現するのはいつなのか? 東京理科大理工学部の米本浩一教授(68)に話を聞いた。
まず、「宇宙旅行元年」となった21年を振り返ろう。7月、英複合企業ヴァージン・グループを率いるリチャード・ブランソン氏、インターネット通販大手アマゾン・コムのジェフ・ベゾス会長の実業家2人が、それぞれ自ら創業した宇宙ベンチャーの宇宙船に搭乗し、それぞれ高度85キロ、100キロ超に到達した。9月には、米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者が率いる米宇宙ベンチャー「スペースX(エックス)」の宇宙船「クルードラゴン」が、実業家ら4人のみを乗せ、3日間の宇宙空間での地球周遊旅行に成功した。
スペースXは、23年に約6日間の月周回旅行を実施する計画で、その乗船権を取得したのが前沢氏だ。前沢氏は、それに先立ち、日本時間の12月9日未明、ロシアのソユーズ宇宙船がドッキングした国際宇宙ステーション(ISS)内に入り、日本の民間人として初めてISSに滞在した。約12日間の滞在中、「地球はマジで丸いし、青い」とツイッターで発信するなど、話題となった。「ホリエモン」こと実業家の堀江貴文氏も宇宙ベンチャーを創業し、自社開発の小型ロケット打ち上げに成功するなど、日本でも宇宙への関心を示す実業家は多い。
では、日本発の宇宙旅行は実現するのか。話を聞いた航空宇宙工学が専門の米本さんは、17年に設立された日本の宇宙ベンチャー「スペースウォーカー」の最高技術責任者(CTO)として、日本製の有人宇宙船開発を進めるキーパーソンでもある。「マスク氏ら3人が自らの資産を投じて宇宙に行く道を切り開き、『こういう宇宙への行き方もあるんだ』ということを知らしめてくれた。彼らの熱意、勢いはすごいので、世界がこの流れに乗り遅れちゃいけないという動きになっている」と昨今の状況を語る。
その上で、宇宙旅行について「宇宙って、資源でいえばレアアースがあるとか、医療面でも無重力空間ではがんの進行が止まるとか、いろいろな可能性が指摘されていて、ビジネスの芽はたくさんあるけど、やっぱり宇宙旅行というビジネスへの期待は大きい。宇宙から青い地球を見たいって願望を持つ人は多いわけだから」と説明する。確かに、記者も、行けるなら行ってみたい。
ただ現時点では、そのツアー費用は、かなり高額だ。ブランソン氏の企業が手がけるツアーは、…
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