留学生頼みから脱却「3本の矢に」 箱根駅伝に挑む東京国際大
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180センチを超すケニア出身の留学生が表情を変えずに14人を抜き去った衝撃と、総合10位に終わった落差。前回の箱根駅伝で東京国際大は「ビンセント頼み」と言われた。あれから1年。屈辱をかみしめた2人の同期生が奮起し、エースに依存しない「3本の矢」となって箱根路に挑む。
一人一人が強くなれ
2021年1月2日、箱根駅伝2区。オープン参加の関東学生連合を含めて15番目にたすきを受けた当時2年生のビンセント・イエゴン(21)は、区間新記録をマークして首位に躍り出た。一方、不本意な形で快走の舞台を整えてしまったのが、1区を走った同期の丹所(たんしょ)健(20)だ。「『ビンセント頼み』と言われても仕方ない結果だったと感じている。(他大学にも)甘く見られていた部分もあったと思う」。深くため息をつきながら、約1年前を振り返った。
ギリギリの10位でシード権を獲得した後のミーティングで、大志田秀次監督(59)は選手たちに呼びかけた。「『この選手がいるから』ではなく、一人一人がしっかり強くなってくれ」。イエゴン依存からの脱却を意味するのは明らか。大志田監督はイエゴンを「どこの大学よりも強いランナー」と見る。そこに「日本出身者にも強い選手がいることで伸びる」と二の矢、三の矢を放てるチームを目指した。その筆頭として期待したのが丹所だった。
丹所は箱根駅伝を自然と意識する環境で育った。往路の第2中継所がある横浜市戸塚区出身。中学1年から陸上長距離に取り組み、3区にあたる神奈川県藤沢市内の湘南工大付高に通った。沿道で観戦しては近い将来の自身を夢想し、箱根を走る選手を身近なお手本とした。高校時代に全国レベルで目立った成績は残せなかったが、潜在能力の高さを買われて複数の有力大学から勧誘を受けた。東京国際大を選んだのは、当時のエースで3学年上の伊藤達彦(現Honda)への憧れと、「選手層を考え、1年生から箱根駅伝に出られるかもしれない」…
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