「納得感あるシナジー」問われるSBI TOB効果の拡大なるか
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

新生銀行に対する株式の公開買い付け(TOB)を成功させ、傘下に収めたインターネット金融大手、SBIホールディングス(HD)の北尾吉孝社長は22日、東京都内で記者会見し、新生銀の公的資金を返済する方法として「新生銀の非上場化も有力な選択肢」と述べた。
SBIは傘下に地銀を置いて進める「第4のメガバンク」構想の中核に新生銀を位置付け、金融商品の販売や投資業務を強化する青写真を描く。北尾氏は会見で「(新生銀と)協業できる分野はたくさんある。極めて広範囲にシナジー(相乗効果)が働く」と強調した。
SBIが見込む効果の一つは、新生銀が主力とする消費者金融事業にSBIの顧客を紹介することだ。JPモルガン証券の西原里江シニアアナリスト(銀行担当)は「SBIが強みを持つAI(人工知能)やビッグデータ解析の技術を活用すれば、若年層の顧客を引きつけられる貸出利率を実現できる可能性がある」と指摘する。法人営業分野でもSBIと新生銀、地銀などの連携により、従来はメガバンクや大手証券に限られていた企業の合併・買収の仲介業務などに参画できる可能性があるとみる。
問題はプラス効果を、どの程度拡大できるかだ。SBIは、新生銀の連結最終(当期)利益を、2021年3月期の451億円から25年3月期には710億円まで高める強気の見通しを示す。
しかし、「皆が納得感のあるようなシナジーが見えない」(証券アナリスト)という声もあり、急速な経営改善を疑問視する見方は根強い。SBIは連携強化と並行して、経理や人事など管理部門の統合によるコスト削減も進める方針だが、TOBの効果をどう具体化できるかが最初の試金石となりそうだ。【安藤大介、竹地広憲】
完済策「ウルトラCどころでない」
北尾氏は20年以上かかっても公的資金を完済できない新生銀を痛烈に批判してきたが、果たして返済できるのか。
…
この記事は有料記事です。
残り933文字(全文1714文字)