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せりふは一切ない。しかしなんと多くの声が聞こえてくるのだろう。蜷川幸雄が創設した高齢者演劇集団による15年間の活動の集大成だ。太田省吾の沈黙劇が、人生を積み重ねた肉体が放つ表現のリアルと交わり、豊穣(ほうじょう)な時を紡ぐ。杉原邦生構成・演出・美術。
舞台中央手前にポツンとある、取っ手の壊れた水栓と水槽。広大な宇宙を感じさせる大ホールの空間を支配するのは、チョロチョロと流れる水の音だ。
バスケットを手にした少女が現れ、赤いコップを取り出して水を飲む。そこから始まる物語は、なんらかの渇きを抱えた人々が次々と水場を訪れては、またどこかへ去っていくという繰り返しだ。
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