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「聞く力」をアピールする岸田文雄首相が、ひときわ発信に力を入れる政策課題がある。「核兵器のない世界」に向けた取り組みだ。被爆地・広島選出の首相にとってライフワークといえる。ただ、核廃絶は首相自身も「果てなき夢」と語るように簡単ではない。
被爆地地盤で強いこだわり
「唯一の被爆国として日本が手にしている『伝家の宝刀』とも呼ぶべき、『道義的権威』を最大限に活用して、保有国と非保有国の仲を取り持ち、国際的な核軍縮の道をひらいていく」
2020年10月に出版した著書「核兵器のない世界へ」の一節だ。
首相は同年9月に著書「岸田ビジョン」も出版したが、こちらは政策集の色が強い。2冊の著作のうち1冊が核軍縮に絞った内容であることに、首相のこだわりの強さが表れている。
広島が地盤の首相は、幼いころから原爆の恐ろしさを祖母や親戚などに聞いて育ったという。親戚・縁者には被爆者が少なくなく、核廃絶運動でノーベル平和賞授賞式で被爆者として初めて演説したサーロー節子さんとは遠い縁戚関係にある。首相を長年支える山本高義首相秘書官も、被爆者の子供のいわゆる「被爆2世」だ。
オバマ氏の広島訪問に尽力
外相時代には、16年のオバマ米大統領(当時)の広島訪問実現に尽力した。当時のケネディ駐日大使やケリー国務長官と信頼関係を築き、ケリ…
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