政令市長選で共産系4番手 「支持層が維新に流れた」の衝撃

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神戸市街地=2021年4月、本社ヘリから大西達也撮影
神戸市街地=2021年4月、本社ヘリから大西達也撮影

 「勝てる」とまでは思っていなかったかもしれない。それでも「4番手」は衝撃だった。2021年10月の衆院選と同日に行われた政令市長選で、22年夏に創立100年を迎える共産党の推薦候補が、告示日以外は街頭に立たなかった新人候補らの後じんを拝した。その衆院選で共産の全国議席は12から10に後退。取材を進めると、立ち位置が全く「逆」の日本維新の会に支持層が流れているとの声も聞こえてきた。港町で垣間見えた地殻変動に迫った。

神戸市長選、ネット運動候補にも及ばず

 「4番手とは思っていなかった……」。神戸市長選の結果を受け、共産党兵庫県委員会の松田隆彦委員長(63)は首を振った。

 現職の久元喜造氏(67)は自民、公明、立憲民主などの推薦を得て3選を目指した。維新は独自候補を立てられず、共産としては現職への批判票を集めやすい構図だった。しかし結果は、久元氏が過去最多得票の圧勝。共産推薦の岡崎史典氏(53)は知名度が低かったとはいえ、インターネットを中心に運動した鴇田(ときた)香織氏(53)に水をあけられ、各種選挙に出馬を繰り返す中川暢三(ちょうぞう)氏(66)にも競り負けた。

 前回より投票率が約6ポイント上がったのに、推薦候補の得票は約1万3000票減らす惨敗。松田氏は「衆院選と重なって神戸市長選の争点を伝えきれず、ばくっとしたイメージに票を奪われた」と悔しがった。確かに衆院選の野党共闘は影響しただろう。前回市長選も衆院選と同日だったが、今回は野党候補の一本化で神戸市内4選挙区は党候補が2人に半減。選挙区の候補者が党を前面に出し、有権者を掘り起こす手法が十分機能しなかった。

 ただ、それにしても負け過ぎではないか。今回の衆院選で、共産の全国の比例票は約417万票と前回より約24万票も減り、兵庫県内は約2万9000票と減り幅が全国で最も大きかった。兵庫の共産党関係者の間では興味深い見方が広がった。「衆院選で小選挙区は共産、比例代表は維新に入れた有権者がいる」

 「身を切る改革」を掲げ、公務員削減、民間競争の重視など「自己責任」を強くにじませる維新。社会保障の拡充、労働者の正社員化など「命と暮らしを守る」と訴える共産。大阪のカジノや万博など大規模開発へのスタンスも正反対。共産は維新を「自公の補完勢力」と呼んで与党と同一視し、敵対する相手だ。

 だが、現場の感覚は正しかったようだ。共同通信社の出口調査によると、維新が候補を立てなかった衆院選の兵庫2区(神戸市兵庫区など)で共産候補に入れた有権者のうち2割が比例で維新に投票。同じく維新候補がいない同8区(尼崎市)では3割に達していた。

若者には政党の決まり文句、響かず

 こうした現象をどうみればいいのか。安保法制への反対を契機に発足した学生団体「シールズ関西」にかつて身を置き、リベラルな価値観に基づく野党の結集を訴えてきた神戸大大学院国際協力研究科研究員の塩田潤さん(30)に…

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