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台形のどっしりとした姿の御嶽山を、かなたこなたの山から眺めるたびに、いつか登ろうと思っていた。けれど、なかなか足が向かなかったのは、2014年の噴火の記憶が生々しく、足を踏み入れる勇気が持てなかったからだ。この秋やっと、友人たちと登る機会がもてた。
御嶽山の標高は3067メートル。木曽川水系の源流部にあたり、中京圏の水がめの役を担っている。この大きな山には、大別すると六つの登山口がある。開田口は、営林署(現在の森林管理署)の作業道として作られたものであるが、それ以外はすべて、信仰のために拓(ひら)かれた道だ。御嶽山は、山岳信仰の山である。とくに講を組んで、日本各地の人々が登拝する歴史は、色濃い。
私たちが選んだルートは、覚明行者が拓いた最古の黒沢口の途中地点に、御岳ロープウェイを使ってアプローチするものだった。同ロープウェイ下車後、10分ほどで、七合目の行場山荘に着く。そこから八合目の女人堂に向けて登ると、御嶽山の上部を仰ぐことができる。荒々しい山肌がそそり立ち、ジグザグに登山道がつく。山にへばりつくように建つ九合目の石室山荘を越えると、最高峰の剣ケ峰だ。
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