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デジタルを問う 欧州からの報告

欧州では人権や民主主義の視点でデジタルテクノロジーのあり方を問い直す動きがあります。現場から報告します。

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小学生から教える「批判的思考」 偽情報はねのけるフィンランドの教育

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トーロ小学校4年生のクラスで、「フェイクニュース」の授業を行うマリ・カルパネン教諭(中央)=ヘルシンキで2021年12月8日午前9時10分ごろ、岩佐淳士撮影
トーロ小学校4年生のクラスで、「フェイクニュース」の授業を行うマリ・カルパネン教諭(中央)=ヘルシンキで2021年12月8日午前9時10分ごろ、岩佐淳士撮影

 フィンランドでは2014年に改定された国の学習指導要領に、ネット上のフェイクニュースなど偽情報への対策が盛り込まれた。ブルガリアに拠点を置く「オープンソサエティー・インスティテュート」が欧州35カ国を対象に行った調査で、偽情報の悪影響に対する抵抗力が最も強いとされるのがフィンランドだ。ネット空間を行き交う虚実混交の情報に世界中が翻弄(ほんろう)される時代に、子供たちに何を教えたらいいのだろう。フェイクニュースに立ち向かうフィンランドの教育現場を取材した。【ヘルシンキで岩佐淳士】

 「星はどんな色をしていますか」

 「赤、オレンジ、黄色、白、青などです」

 「では星の温度は?」

 「オレンジと赤色の星は高温で、青色の星は低温です」

 2021年12月上旬、フィンランド・ヘルシンキ中心部にあるトーロ小学校。4年生の教室で、児童らが2人1組となり、クラスメートの前でこんなやり取りを披露していた。

 一人が「宇宙の専門家」になり、もう一人の質問役の問いに答える。児童らはあらかじめ、教科書で星についての基礎情報を読み、準備している。その記述をもとにいくつかの質問と答えを考え、ほかの児童らの前で順番に発表する。「専門家」は答えに一つだけ、ウソを紛れ込ませるのがルールだ。

 「では、どれが偽情報だったか分かりますか」

 マリ・カルパネン教諭が問いかけると、女子児童が手を挙げた。

 「2番目の情報です。本当は青色の星が熱くて、オレンジや赤の星は冷たいからです」

 国語の時間に行われたこの授業のテーマは、「フェイクニ…

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