迫る危険 日本へ退避待つアフガン人元留学生 コロナで水際強化

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アフガニスタンの首都カブールの空港近くを警備するイスラム主義組織タリバンの戦闘員=カブールで2021年12月6日、松井聡撮影
アフガニスタンの首都カブールの空港近くを警備するイスラム主義組織タリバンの戦闘員=カブールで2021年12月6日、松井聡撮影

 「日本に退避したい。アフガニスタンは危険なんです」。男性はオンライン通話でそうつぶやくと目を伏せた。日本への元留学生でアフガン政府職員だったが、8月に全土を制圧したイスラム主義組織タリバンの関係者に脅され「命が危ない」と第三国に脱出。日本行きのビザ(査証)が出るのをじりじりと待つ毎日だ。助けを求めるかつての教え子たちには、日本の大学教職員ら多数が手を差し伸べているが、新型コロナウイルスの水際対策強化で外国人の新規入国が原則停止されたこともあり、退避は思うように進まない。「手遅れにならないか」。関係者の焦燥は強まる一方だ。【和田浩明/デジタル報道センター】

暗転したキャリア つきまとうタリバン

 記者が12月中旬に話を聞いた30代男性は、数年前に九州大学に留学した経験がある。「身元を特定されればアフガンで何があるか分からない」として、名前などは報じないことを条件に取材に応じた。

 男性は帰国後は政府機関に勤務。「少しずつでもアフガンの人たちが貧困から抜け出せるようにしたい」と仕事に励み、順調に昇進したという。

 だが、8月中旬にタリバンが首都カブールを制圧し、その後、暫定政権を樹立したことでキャリアは暗転する。タリバン関係者だという男が接触してきて、職務関連の情報を渡すよう執拗(しつよう)に要求してきたのだ。相手は「銃を持っていたり、強圧的な言動を取ったりすることもあった」という。

 男性は身の危険を感じ、外国への退避を考えるようになる。欧州に行く選択肢もあったが、「自分の専門分野での研究水準が高く、秩序立っていて、思いやり深い人たちのいる国」として、強い愛着を感じてきた日本に向かいたいと考えたという。

 タリバンの復権を受け、相談した母校・九州大側の計らいで同大職員として一時的に雇用してもらえることになった。母校の支援も受けて日本渡航のための必要書類を提出し、航空券も予約して家族と第三国になんとか脱出。同地の日本大使館で日本入国に必要なビザ(査証)の発行を受けようとした。「近く日本に向かえる。そう期待していました」

オミクロンで入国停止の衝撃

 そこへ降って湧いたのが、…

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