再捜査でも法の壁越えられず 東京地検特捜部、安倍元首相再び不起訴
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「桜を見る会」前夜祭の費用補塡(ほてん)問題は、東京地検特捜部が28日に安倍晋三元首相(67)を再び不起訴とし、捜査を終えた。網を広げた再捜査でも法律の壁は越えられなかったが、安倍元首相が「虚偽答弁」を繰り返した事実は消えず、説明責任を問う声は残りそうだ。
「5000円は高かった」
「安倍さん側が補塡することが最初から分かっていたら、8000円でも1万円でも払いましたよ」。11月中旬、安倍元首相を地元で長年支援してきた山口県下関市の60代男性は山口地検下関支部の一室で切り出した。特捜部からの突然の事情聴取の要請に、身構えながら検事と向き合った。
男性が前夜祭に参加したのは2019年4月。東京都内の高級ホテルで立食形式だった。男性は「安倍さん夫妻との記念撮影の列ができていた」と会場の様子を説明した。検事からは「高級なすしは出ていましたか」など、提供された料理について主に問われた。だが、男性が口にしたのは、サンドイッチ数切れとウイスキーの水割り数杯。カレーライスなどの料理はすぐになくなり、閉会後に居酒屋で飲み直したことも説明した。
「高級ホテルだとしても5000円の会費は高い。翌日、桜を見る会で芸能人を見て、プラスマイナスゼロになった」。こうした供述調書に署名したという。
公職選挙法は有権者への寄付を禁じているが、政治家らを罪に問うには、有権者側に「利益を受けた」との認識が必要になる。前夜祭の会費が相場より安い問題が国会で浮上し、告発を受けた1度目の捜査で、特捜部は前夜祭の参加者25人前後を聴取。利益を受けた認識は乏しく、公選法違反に問えないと判断した。
しかし、安倍元首相の不起訴を不当とした今年7月の検察審査会の議決は、寄付の成否は一人一人判断されるべきで、一部の参加者への聴取だけで参加者全員の寄付の認識を判断するのは不十分だと指摘した。
このため、特捜部は再捜査で聴取の対象を広げた。冒頭の男性も再捜査で初めて聴取を受けた。1度目の捜査は安倍元首相に近い後援会関係者らが中心だったが、再捜査では、後援会に所属していない有権者にも範囲を広げたとみられる。
前夜祭の参加者は19年は約800人。ある検察幹部は「全員を聴取するのは現実的でない。安倍元首相と距離がある人であれば、実態に沿った供述をしてくれると考えた」と明かす。
だが、再捜査でも「食事が少なかった」「5000円は高かった」との説明は相次いだとされる。19年の会費…
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