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岸田首相の「ゼロエミ」演説 背景に脱炭素市場で劣勢に立つ日本

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COP26の首脳級会合で演説する岸田文雄首相=英グラスゴーで2021年11月2日、ロイター
COP26の首脳級会合で演説する岸田文雄首相=英グラスゴーで2021年11月2日、ロイター

 気候変動問題が国際政治、経済などあらゆる場面で注目された2021年。そのクライマックスとも言える国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)での演説で、岸田文雄首相は二酸化炭素(CO2)排出削減策として「ゼロエミッション(CO2排出ゼロ、ゼロエミ)化」を掲げ、化石燃料を使う既存の火力発電を活用し続ける姿勢を示した。「脱炭素」に向かう世界の潮流とはかけ離れた発言だが、その背景を探ると、脱炭素市場で劣勢に立つ日本の窮状が見えてきた。【鈴木理之】

 「内容は1、2日程度で考えた」。演説原稿を検討した側近の一人はそう明かす。10月31日が衆院選の投開票日で、もし自民党が大敗すれば、英グラスゴーでのCOP26への出席自体を取りやめる可能性もある中、首相の側近数人が慌ただしく新政権の気候変動政策の骨格を考えたという。

 COP26での演説は11月2日。注目されたのが「ゼロエミ化」発言だ。岸田首相は「アジアにおける再エネ導入は太陽光が主体となることが多く、周波数の安定管理のため、既存の火力発電をゼロエミ化し活用することも必要だ」とし、「経済成長のエンジンであるアジア全体のゼロエミ化を力強く推進していく」と訴えた。

 ゼロエミ化とは、火力発電の燃料をアンモニアや水素などに転換することを指すが、当面は石炭などと混ぜて使うことになり、CO2排出ゼロの実現可能性はまだ見通せない。この発言に対し、世界の環境NGOでつくる「気候行動ネットワーク(CAN)」は「石炭火力の段階的廃止がCOP26の優先課題なのに、日本は30年以降も使い続けようとしている」として、対策に後ろ向きな国に贈る「化石賞」に日本を選んだ。

 「批判されることは分かりきっていた」。環境省幹部はそう振り返る。

 政府関係者によると…

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